エアコンの「ドライ」と「冷房」って何が違うの? それぞれの仕組みや電気代、使い分けについて解説
配信日: 2024.08.19 更新日: 2024.10.10
本記事では、冷房とドライの仕組みや電気代の違い、また両者をどのように使い分ければよいのか解説します。
執筆者:山根厚介(やまね こうすけ)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
ドライと冷房の違い
ドライでも部屋の温度が下がるものが多いため、冷房ではなくドライを使っている人もいるのではないでしょうか。そもそも冷房とドライは何が違うのか解説します。
ドライの原理
ドライは部屋の空気を集めて熱交換器で温度を下げます。温度が下がると空気中に存在できる水分の量が減り、結露として水分が取り除かれる仕組みです。コップに部屋の空気よりも冷たい水を入れておくと、コップの周りの空気が冷やされてコップに水滴がつくのと同じで、水滴が除湿された水分です。
冷房の原理
冷房もドライと原理は同じで、熱交換器で部屋の空気の温度を下げます。ただし、冷房の場合はドライよりも強力に温度を下げる点が異なります。先ほどのコップに例えるなら、ドライはコップに空気よりも冷たい水を入れているだけでしたが、冷房はコップに氷水を入れて冷やすイメージです。
ドライと冷房の違い
つまり、冷房とドライの動作原理は同じで、ドライは冷房を弱く作動させていると言い換えられるでしょう。
ただし、ドライは機種によっては一度冷やした空気をもう一度暖める「再熱除湿」方式を採用していることもあります。ちなみに従来のドライ機能は「弱冷房除湿」方式と呼ばれています。再熱除湿は部屋の温度が下がりすぎないため、弱冷房方式では寒く感じる人に適しているでしょう。
ドライと冷房で電気代はどれくらい違う?
冷房とドライの電気代はどのくらい違うのでしょうか。エアコンのカタログや説明書には冷房の消費電力は書かれているものの、ドライの消費電力は書かれていないことがほとんどです。
2002年に東京電力ホールディングス株式会社が行った試験では、1時間当たりの冷房のコストは11.0円、弱冷房除湿が4.1円、再熱除湿が14.9円でした。
20年以上前の試験であり、現在とはエアコンの性能や電気料金の単価が異なるため、この金額が今もそのまま当てはまるわけではありませんし、使用環境や設定温度によって必要な電力は異なります。しかし、電気代がかかるのは再熱除湿>冷房>弱冷房除湿の順番だと考えてよいでしょう。
ドライと冷房の使い分け方
弱冷房除湿方式のドライは、冷房と同じ原理ですし、電気代がかからないのならずっとドライでよいのではないかと思う人もいるでしょう。ドライと冷房はどのように使い分ければよいのでしょうか。
冷房とドライは、部屋の温度を下げたいときに冷房、湿度を下げたいときにドライと使い分けるのがおすすめです。なぜなら、冷房は設定された温度に下がるまで運転を続けますが、ドライは温度ではなく設定された湿度になるまで運転を続けるからです。
そのため、温度を下げたいのにドライを使うと、思うように温度が下がらないということもあるからです。また、湿度を下げたいときに冷房を使うと、湿度が思ったより下がらなかったり、逆に下がりすぎたりする可能性があります。
まとめ
冷房もドライも、部屋の空気を冷やす点では同じです。しかし、冷房は設定温度にしたがって運転をするのに対して、ドライは設定湿度で運転しています。そのため、温度を下げたいときは冷房、湿度を下げたいときはドライにするとよいでしょう。
また、ドライには冷やした空気をそのまま放出する弱冷房除湿と、一度温め直して放出する再熱除湿があります。ドライで部屋が冷えすぎて困るという人は再熱除湿機能があるエアコンを選ぶとよいでしょう。
出典
東京電力ホールディングス株式会社 『エアコンの「冷房」と「除湿」の上手な使い方』について
執筆者:山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士