更新日: 2024.10.10 その他家計
有休の当日に、職場から「今日シフト入れない?」と連絡がありました。もし働いたら「残業扱い」になりますか? 支払われるのは“普通のお給料”でしょうか?
執筆者:西村りえ(にしむら りえ)
2級ファイナンシャルプランナー、AFP
有給休暇中の労働に対する考え方
有休は労働基準法第39条に基づいて与えられる権利であり、労働者が休む権利を保障するためのものです。基本的に、労働者は有休を取っている間、労働義務は免除されます。しかし、職場の事情によっては、有休中に出勤を求められることもあるでしょう。
そのような場合には、その日は有給取得日としないことが一般的です。
有給休暇の日に働いた場合の給料
有休取得を予定していた日に会社の求めに了承して勤務した場合、原則その日は通常の勤務日として扱われます。つまり、有休を使用したことにはならず、通常の労働日と同様に給与が支払われることになるのです。2024年10月以降の最低賃金目安の全国平均である時給1054円で計算した場合、8時間勤務の場合は、8432円の給料になります。
出勤した日の有休を別の日に振り替えることは可能です。その際には、認識の違いによるトラブルを避けるためにも事前に雇用主との間で合意しておくことをおすすめします。
有給休暇の日に残業した場合の給料
有休取得を予定していたものの、会社の要請で通常勤務となった場合でも、働いた時間が所定労働時間を超過すれば、超えた時間は残業代(時間外労働)として扱われます。
例えば、通常の勤務時間が8時間で、8時間を超えて働いた場合、超えた分は残業となります。
残業代は具体的には、通常の賃金の1.25倍以上の割増賃金が支払われます。例えば、時給1054円の場合、1時間の残業に対して1318円以上の賃金が支払われることになります。
22時から翌朝5時までの深夜時間に勤務した場合は1.25倍の深夜労働手当が、割増賃金として支払われます。
有給休暇中に勤務要請を受けた際の対応
有休中に職場から出勤の依頼があった場合、その依頼に対してどう対応するかは個人の判断に委ねられます。まず、依頼を受けるかどうかの判断をする前に、以下の点を確認しましょう。
・有休が取り消され、その日に対する賃金が支払われるか
・追加の労働に対する適切な手当が支払われるか
・代替の有休はいつ取れるか
また、上司からの依頼を受ける際には、口頭だけでなく書面やメールなど形に残る方法で確認しましょう。これは、後々のトラブルを避けるためです。
まとめ
予定していた有休を取りやめて働いた場合は通常勤務扱いとなり、給料も残業代も、通常の労働日と同様に支払われます。
有休中の勤務要請は、労働者の権利と職場の事情が交錯する難しい問題です。法的には労働者の権利が守られるべきですが、現実的には職場との良好な関係を維持することも大切です。
もし、依頼に対して不安や疑問があるならば、労働基準監督署や各自治体の労働局にある労働相談窓口に相談することも1つの手段です。自分の権利を守るためにも、労働者としても正しい情報を持ち、適切に対処することが求められます。
出典
厚生労働省 年次有給休暇制度について
e-Gov法令検索 労働基準法
執筆者:西村りえ
2級ファイナンシャルプランナー、AFP