更新日: 2024.09.30 働き方

【2024年10月から変わる年収の壁】「自分に影響はないか」「どんな対策が必要なのか」とチェックしていますか?

【2024年10月から変わる年収の壁】「自分に影響はないか」「どんな対策が必要なのか」とチェックしていますか?
現在、パートなどの短時間労働をしている方のなかには、「106万円の壁」や「130万円の壁」など、「年収の壁」を意識して労働時間を調整している方もいるでしょう。2024年10月から、年収の壁に関わる制度が一部変更となります。今回は、パート勤務の方が覚えておきたい制度の変更内容について解説します。
下中英恵

執筆者:下中英恵(したなかはなえ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。

富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”

2024年10月の制度変更

日本では、年収が一定の要件を満たす場合、社会保険料を納めなければなりません。2024年10月からはこの要件が一部変更となり、社会保険料を納めなければならない方の範囲が拡大します。

<2024年10月からの社会保険の加入対象者>

1.1週間の所定労働時間が20時間以上
2.雇用期間が継続して2ヶ月を超える見込みがある
3.賃金の月額が8万8000円以上(年収換算で106万円)
4.学生ではない
5.被保険者の総数が、企業規模で常時51人以上の特定適用事業所に勤務(または任意特定適用事業所に勤務)

今回変更となるのは、「5.被保険者の総数」に関する部分です。今までは、被保険者の総数が101人以上の、大きな企業に勤めている短時間労働者が加入の対象でした。10月からは、被保険者の総数が51人以上の、より規模の小さい企業の短時間労働者も対象となります。
 

年収の壁の変更において、注意すべき人は?

今回の制度変更により、今後社会保険料を納める可能性があるのは、以下の要件を満たす短時間労働者です。

<年収の壁の制度変更に際して、注意すべき人>

●年収が106万~130万円になるよう調整していた人
●社員数が51人以上100人以下の企業で、短時間労働をしている人

社員数が51~100人の企業で、今まで短時間労働をしていた方の場合、「年収の壁」が106万円ではなく130万円だったケースもあるでしょう。
 
しかし制度変更により、社員数が51~100人の企業でも、年収106万円以上の方は社会保険料を納めなければいけなくなります。年収の壁を超えなかった場合と比較するとして、納める保険料のほうが多く、かつ年収は106万円を少し超えただけである場合、手取り額が大きく減ってしまうかもしれません。
 
「社会保険料を納めたくない」「手取り金額を減らしたくない」と考えている場合、今後は年収が106万円以下になるように調整する必要があります。
 

社会保険に加入するとどうなる?

確かに、社会保険料を納めると手取りの金額は減ってしまいます。しかし、保険料を納めることで、以下のようなメリットがあることを覚えておきましょう。

<社会保険料を納めるメリット>

●将来もらえる年金額が増える
●傷病手当金や出産手当金などの医療手当が充実する

保険料を納めた分、将来の年金が増加したり、手当金がもらえたりと、多くの保障を得られる可能性があります。
 
さらに、国はパートなどの短時間労働者に対し、年収の壁を超えて、より積極的に働いてもらうことを推奨しています。現在は「年収の壁・支援強化パッケージ」と呼ばれる支援政策も行っているので、年収の壁を超えて働きたいと考えている方は、ぜひチェックしてみましょう。
 

まとめ

「年収の壁」に関わる制度は、近年活発に議論され、変更が行われています。年収の壁を意識しながら働いている短時間労働者の方は、制度変更のニュースに対してアンテナをはり、自分が損をしないように、年収金額を調整しなければなりません。今回紹介した内容を参考にしながら、「自分に影響はないか」「どんな対策が必要なのか」と、しっかりチェックしておくようにしましょう。
 

出典

厚生労働省 年収の壁・支援強化パッケージ
 
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

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