更新日: 2024.10.15 働き方
妻「年収106万円だから扶養内で働けるはず」→実は10月から「社会保険」に強制加入に!? これまで払う必要がなかったのになぜ? 理由を解説
社会保険料負担により手取りが減ってしまうため、困惑する人もいるでしょう。本記事では、新たに社会保険に加入しなければいけない人が増える理由と対応について考えていきます。
執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
10月からパート・アルバイトの社会保険加入範囲が拡大
2024年10月からの社会保険加入対象者は次の通りです。
1.週の勤務が20時間以上
2.給与が8万8000円以上
3.2ヶ月以上働く予定がある
4.学生ではない
5.従業員51人以上の企業で働いている
この中でも注目すべきは、5番目の「従業員51人以上の企業」という基準です。これまでは「従業員101人以上」の企業が対象でしたが、2024年10月からはその基準が引き下げられました。
2024年9月までは4番目までの条件を満たしていても、100人以下の会社に勤めている人であれば、社会保険の加入義務はありません。
しかし、2024年10月からは51人以上100人以下の企業に勤めている人で、4番目までの基準を全て満たす人が、新たに社会保険加入の対象となります。
2番目の条件である月額8万8000円は、年額にすると105万6000円です。つまり、年収が106万円の人で、かつほかの条件も満たす人は社会保険の対象者となってしまいます。
社会保険に入ることになった場合の対応は2つ
10月から社会保険の対象となった場合、選択肢が2つあります。勤務先との相談も必要となりますが、どちらが自分にとって好ましいか考えてみましょう。
月8万8000円以下となるように勤務時間を減らして扶養に入り続ける
社会保険に加入しなければならないのは、前記した5つの条件を全て満たす場合なので、働き方を変えて、社会保険の対象から外れるのも1つの方法です。
例えば、月収8万8000円未満となるようにすれば、2番目の条件を満たさなくなるため、扶養に入り続けられます。ただし、収入が頭打ちとなる点はデメリットと言えるでしょう。
働く時間を増やして手取りの減少をカバーする
もう1つの選択肢は、社会保険に入った分、年収を気にせずに働くことです。これまでは配偶者の社会保険の扶養外となってしまう「130万円の壁」を意識する必要がありました。今回の改定で社会保険に入れば130万円の壁を意識せずに働けます。
社会保険料の負担で手取りが減ったなら、勤務時間を増やして減った分以上に稼げば良いのです。
なお、社会保険に加入することには、ほかにもメリットがあります。具体的には将来もらえる年金額が増えることや、傷病手当金や育児休業給付金などの給付を受けられるようになることが挙げられ、社会保険に入ってよかったと思うこともあるかもしれません。
社会保険に入ったほうが良いか扶養に入り続けたほうが良いか考えよう
2024年10月からは社会保険の加入対象が拡大され、新たに加入義務が発生し、手取りが減る人が出てきます。具体的には51人以上100人以下の会社に勤めている人が新たに対象になるため、このくらいの規模の会社に勤めている人は、自分が対象になったときのことを考えておくべきでしょう。
社会保険料に入ることによって手取りが減るのは事実ですが、130万円の壁を気にせず働ける、将来の年金が増えるといったメリットもあります。一方で月収を8万8000円に減らして、扶養にとどまるという選択もあります。
自分の生活スタイルや将来設計を考え、どちらの選択肢が適しているか検討しましょう。
出典
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について
厚生労働省 社会保険加入のメリット
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士