副業で「月2万円」の収入のある会社員。条件によっては「失業保険」を受け取れない場合も!? 注意が必要なポイントを解説
配信日: 2024.10.30
近年は副業を始める人が増え、失業保険がもらえるのか不安を抱える人も少なからずいます。副業と失業保険の関係は複雑で、複合的な要因によって変わってきます。
本記事では月2万円程度の副収入がある場合の、失業保険への影響について説明します。
執筆者:西村りえ(にしむら りえ)
2級ファイナンシャルプランナー、AFP
失業保険(雇用保険)の基本
失業保険は、正式には雇用保険と呼ばれる社会保障制度の1つで、働く人が失業したときに生活の安定を図り、再就職を支援するものです。雇用保険に加入できるのは、原則として以下の条件を満たす人です。
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・31日以上の雇用見込みがある
失業保険を受給するための主な条件は、以下の通りです。
・原則として離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること
・倒産や解雇など、会社都合による離職の場合は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること
副業と失業保険の関係
副業をしていても、一定の条件を満たせば失業保険を受給できる可能性があります。ただし、以下の条件に注意する必要があります。
・ 収入額
副業による収入と失業保険の日額の合計が、前職の賃金日額の80%を超えると減額対象になります。例えば、前職の日額が1万円なら、副業収入と失業保険の日額合計が8000円超の場合に減額されます。副業が前職の賃金日額の80%を超えないようにしましょう。
・就労時間
週の就労時間が20時間未満であることが条件です。週20時間以上働くと、新たに雇用保険の被保険者となる可能性があり、失業保険の受給資格を失う可能性があります。
・雇用形態
副業が正社員ではなく、アルバイトやパートタイムであることが望ましいです。正社員として雇用されると、新たに雇用保険の被保険者となり、失業保険が得られなくなるリスクがあります。
これらに気をつければ、副業をしながらでも失業保険を受給できる可能性は高まります。不安な点はハローワークに相談することをおすすめします。
月2万円程度の副収入のケース
月に2万円程度の副収入がある場合は、失業保険を受給できるよう、下記の点に注意しましょう。
・収入の変動
前職の賃金や年齢によって異なりますが、副業の収入が月によって大きく変動すると、1日に受給できる失業保険が減額されることもあります。
・副業のかけ持ち
複数の副業を掛け持ちしている場合、それぞれの収入や就労時間を合算して考える必要があります。合計で月2万円を超えないよう注意しましょう。
失業保険受給時の副業に関する注意点
失業保険を受給しながら副業をする場合、以下の点に特に注意が必要です。
・収入を申告する
副業による収入は、金額の多少に関係なく必ず申告しましょう。申告しないと不正受給と見なされ、罰則の対象となる可能性があります。
・失業認定日時点での確認
ハローワークでの失業認定日に、副業の状況を正確に報告することが重要です。就労日数や収入額、就労時間などを記録しておき、認定日に漏れなく伝えます。不明な点があれば、その場で職員に質問するのも良いでしょう。
・副業収入による失業保険の減額可能性
副業の収入が一定額を超えると、失業保険の給付額が減額される場合があります。
正しく申告し、正しく受給する
副業をしていても、条件を満たせば失業保険を受給できる可能性はあります。ただし、副業で得た収入は必ず申告することが重要です。就労時間や収入額が増えた場合は、速やかにハローワークに相談しましょう。
副業を始める際は、本業に影響しないよう健康面にも十分注意を払うことが大切です。より安定した生活を送ることができるよう、副業を行いましょう。
出典
厚生労働省 雇用保険制度 Q&A~事業主の皆様へ
厚生労働省 東京労働局 離職された皆様へ
執筆者:西村りえ
2級ファイナンシャルプランナー、AFP