更新日: 2024.11.16 働き方

会社を辞めたら給付金が振り込まれると思っていたのに、申請しないともらえないの? 転職時の給付金などをきっちり受け取るために、申請が必要な制度をチェック!

会社を辞めたら給付金が振り込まれると思っていたのに、申請しないともらえないの? 転職時の給付金などをきっちり受け取るために、申請が必要な制度をチェック!
会社に正社員として勤務していると、「労働者災害補償保険」「雇用保険」「健康保険(介護保険)」「厚生年金保険」という公的保険に加入します。
 
どの保険でどんな給付が受け取れるか、正確に理解している人はどのくらいいるでしょうか。今回は、この公的保険のなかから雇用保険に注目して、会社を辞めたときの給付の内容と手続きについて見ていきましょう。
當舎緑

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

雇用保険の基本手当には受け取るための条件がある

「雇用保険」ではなく「失業保険」というと分かりやすいように、雇用保険は「失業したとき」に受け取れるお金として、「基本手当」がもっとも知られていることでしょう。
 
今回の質問では、「会社を辞めたときの給付」ということですが、雇用保険の「基本手当」がまず該当します。ただ、基本手当には受け取るための条件があり、会社を辞めると自動的に受け取れるわけではありません。
 
そもそも基本手当を受け取るためには、原則として「離職前2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上必要」という受給要件を満たす必要があります。倒産や解雇など、会社都合の離職であれば、「離職前1年間に被保険者期間6ヶ月以上」と読み替えます。
 
この「被保険者期間」ですが、単に雇用された期間のことをいうのではありません。離職日から1ヶ月ごとに区切った期間に賃金が支払われた日数が11日以上ある月を「被保険者期間1ヶ月」と定義されます。
 
普通に勤務していればこの条件を満たすことは大変ではありませんが、病気やけがなどで仕事を休んで賃金が支払われていない、勤務し始めて間がないといったケースであれば、満たせないこともあります。まずは、基本手当を受け取るための条件を満たしているかどうかを確認しましょう。
 

会社が手続きすることと労働者がやるべきこと

退職時には、会社は加入している雇用保険から被保険者の資格を喪失させる手続きをします。同時に、この手続きの際に、離職票を交付してもらう必要があるかどうかを会社に伝えましょう。
 
会社を退職後、すぐに転職先が決まっているのであれば、基本手当は受け取れませんので、離職票は不要かもしれません。ただ、転職先での雇用期間が短く、受給要件を満たせず辞めてしまった場合には、前職に受け取った離職票にもとづく基本手当を受け取ることは可能です。
 
ただし、基本手当には受給期間があり、離職日から1年間に基本手当を受け取らないと、全額受け取れないこともあります。転職後の勤務期間によりますが、すぐに転職するとしても、取りあえず離職票を交付してもらい保管しておくという選択肢もあるでしょう。
 
もし、転職先が決まっておらず、基本手当を受け取る予定であれば、必ず会社に離職票をお願いしておいてください。その後のスケジュールとしては、受け取った離職票をもって住所地のハローワークに行き、受給資格の確認をされたあとは、失業認定日ごとに手当を受給し、あとは求職活動をする流れとなります。
 

基本手当以外の給付金も知っておこう

ハローワークで手続きをしても、基本手当を受け取れるまでには、少し時間がかかります。離職後ハローワークに行ったあとは、通常「待期期間7日間+給付制限期間(原則として2ヶ月)+給付期間」というスケジュールです。
 
給付が受け取れるまで時間がかかることで、アルバイトや再就職をしてしまうこともあるでしょう。そのような場合は基本手当を受け取れない、もしくは減額されてしまうこともあります。
 
再就職をしたのであれば、再就職先で雇用保険に加入します。この時点で、基本手当は受け取れなくなりますが、もし再就職時点で所定給付日数が3分の1以上支給日数を残して安定した職業に就いたときには「再就職手当」が受け取れることもあります。
 
所定給付日数の残日数以外にも、「1年を超えて勤務することが確実であること」「待期期間満了後の就職であること」などいくつかの受給要件があり、基本手当の金額が丸々受け取れるわけではありませんが、再就職後、自分で請求しなければ受け取れません。
 
雇用保険制度には、失業した場合の基本手当以外にも、職業訓練を受講する間の受講手当や通所手当、その他の給付としても、再就職手当、求職活動支援費、教育訓練給付金、高年齢雇用継続給付など、さまざまな給付があります。
 
冒頭の「給付金は申請しないともらえないの?」の質問により、今回は雇用保険の給付をご紹介しました。
 
ただ、会社に退職金制度があるのであれば、その時点での清算なのか、同様の制度に「移行」するのか、どの制度かによって申請先はさまざまです。通常退職金を受け取れるのは、65歳や定年時など、会社によって規定されています。
 
退職金制度に関しては、就業規則などを確認して、勤務先の総務の窓口など問い合わせ先や申請期限などを教えてもらうといいでしょう。
 

出典

厚生労働省 ハローワーク インターネットサービス 基本手当について
厚生労働省 Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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