妻が節約のため「お風呂の残り湯で洗濯したい」と言っています。「抗菌の洗剤なら大丈夫」とのことですが、衛生面は本当に問題ないのでしょうか…?
配信日: 2024.12.14
一方で、「実際にどれくらい節約になるのか」「お風呂の水を使って衛生的に大丈夫なのか」と疑問に思うでしょう。本記事では、洗濯に残り湯を使うことでいくら節約できるのか、メリットと注意点にはどんなものがあるのか解説します。
執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
お風呂の残り湯でどれくらい節約できる?
1回の洗濯で使用する水量を60リットルとし、1日1回洗濯機を回す場合に、水道代をいくら節約できるか見ていきましょう。
お風呂の残り湯を使うことによって上水道代に加えて下水道代も安くなります。洗濯に使う水に加えて、お風呂から排水する水も少なくなるからです。
東京都23区の水道料金は以下の通りとします。
●上水道代:1立方メートル(1000リットル)あたり128円
※メータ口径20ミリメートル、11~20立方メートルの料金
●下水道代:1立方メートル(1000リットル)あたり110円
※9~20立方メートルの料金
上下水道を合わせた水道代は1000リットルあたり238円であるため、1リットルあたりの水道代は約0.238円となります。1日60リットルの水を使うとすると、1日に節約できる金額は0.238×60リットルで約14.28円となるわけです。つまり1ヶ月(30日)で約428円、1年(365日)で約5212円節約できる計算になります。
1年で5000円以上となるため、お風呂の水を使った節約効果は決して小さくないのです。
残り湯を使う節水以外のメリットは?
お風呂の残り湯は、一般的に40度前後の温度を保っています。水の温度が高いほど汚れを分解しやすいとされているため、残り湯を使うことで洗濯の効果を高められるのがメリットです。
また、環境への配慮という点でも重要な意義があります。残り湯を洗濯に活用するという小さな取り組みが、水資源の保護や環境負荷の軽減につながるのです。
残り湯を使うなら「洗剤選び」がポイント
お風呂の残り湯を使う際の洗剤選びは非常に重要です。洗濯用洗剤を販売する花王は、一般衣料用洗剤には再汚染防止の働きがあるため、洗いに残り湯を使っても問題ないとしています。花王の製品の中には、「残り湯でもOK」と明記しているものもあるため、そのような洗剤を選ぶと安心です。
ただし、ウール・おしゃれ着洗い用の洗剤の場合はお風呂の残り湯は使えません。
また、ライオンは残り湯洗濯に対して酸素系漂白剤の使用を推奨しています。ただし、漂白剤の使用には金銭的なコストが発生することや、酸素系漂白剤が適さない衣類がある点にも留意しなければなりません。
さらに、残り湯を使えるのは「洗い」のみであり、「すすぎ」に残り湯を使うのは避けましょう。節水を目的として残り湯をすすぎに使用すると、衣類に汚れや雑菌が残る恐れがあるからです。
また、残り湯を翌日に持ち越して使用すると、雑菌が大幅に増殖することがあります。このため、残り湯はできるだけ早めに使うことが重要です。
節水と衛生面のバランスを取って賢く活用
お風呂の残り湯を洗濯に使うことで、1年間で5000円以上の節水ができる上に、温かい水の特性を活かして汚れを落としやすくする効果も期待できます。
ただし、残り湯で「すすぎ」をしないということは厳守するほか、雑菌の繁殖を防ぐためなるべく早く残り湯を使う、残り湯を使った洗濯に適した洗剤を選ぶといった配慮は必要です。節約と衛生面への配慮を上手に両立しながら、家計にも環境にも優しい洗濯方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
出典
東京都水道局 水道料金・下水道料金の計算方法(23区)
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士