子どもの頃「お母さん銀行」に親戚からのお年玉を預けていたけど、生活費になっていたことが発覚! 今からでも返してもらえる?
配信日: 2025.01.01
この「親に預けた」お年玉、大きくなったらもらえると信じていたら、実は親が日々の生活費や子ども用のお小遣いにして使っていたとしたらどう感じるでしょう。本来子どものためのお年玉を、親が使ってしまうことに問題はないのでしょうか。
本記事では、親に預けた子どものお年玉は誰のものなのか、また使い込まれたお年玉の返還を求めることは可能なのかを解説していきます。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
もらったお年玉はどうしている?
学研キッズネットによると、もらったお年玉を「全額を子ども自身が管理している」が10%で、「基本は子ども自身で管理、一部親が管理している」が12%、「基本は親が管理していて、一部子ども自身が管理している」が35%、「全額を親が管理している」は42%と、77%は親が管理しているという結果でした。
使い道については「子どもが欲しいものを買って、残りは貯金する」が最多の45%、「全額貯金する」が38%、「全額子どもが欲しいものを買う」が11%、「全額勉強関連のために使う」が5%、「勉強関連のために使い、残りは貯金する」が1%と続きました。
親がお年玉を使い込んでいた! 法的解釈は? 返してもらえる?
お年玉は子どもの財産であり、親は子どもの財産を守る義務があります。また、刑法の観点から見てみると、子どもの財産を許可なく親が使ってしまう行為は、他人の財産を無断で侵害したことになりますので、「横領」となってしまいます。
ただし、親が子どもの財産を横領したからといって、ただちに逮捕されるというわけではありません。実は刑法には、「親族相盗例」という規定のもと、親族間での財産の侵害はただちに刑が発動されないこととなっているのです。
これは「法は家庭に入らず」という考え方に基づいており、基本的に家庭内での金銭問題は、家庭内で解決するべきであるという意図があるためです。
しかし、ただちに刑事罰の対象とならないとしても、民法上の不法行為であることには変わりありません。そのため、子どもがお年玉の返還請求をした場合は、親はその求めに応じなければいけないということになります。
親が子どものお年玉を使うのは私利私欲のためではない
親が子どものお年玉を使ってしまうのは、なぜでしょうか。家庭により事情は異なりますが、次のようなことが考えられるでしょう。
●家計が苦しい
●子どもに使った(お小遣いやプレゼント)
●子どもの教育費に充てた
家計が苦しい場合は、子どもがもらったお年玉を一時的に生活費として充てることもやむを得ないことがあるでしょう。また、高額なお年玉を一気に渡して子どもが無駄遣いをしないよう、お小遣いとして小分けに渡したり、子どもにとって有意義なプレゼントに替えて渡したいと考える親もいます。
さらに、将来の子どものために、大学費用や留学費用等に充てる教育費として貯めておいたり、結婚資金として渡せるようにしている親もいるでしょう。
お年玉を使うといっても、親が自分のために使うのではなく、子どもの生活の安全、金銭感覚の構築、将来のためなど、子どものためにお年玉を使っているということも考えられます。
まとめ
自分がもらったはずのお年玉が、結果的に「使い込まれていた」ことが分かったら、腹立たしい気持ちになる人もいるかもしれません。しかし、親がお年玉を使ってしまうといっても、「親の私利私欲」に使っているのではなく、子どものために使っているということも多いと考えられます。
お年玉が使われてしまったからといって親を責めるのではなく、その使われた経緯を聞いてみると、案外納得するものかもしれません。また自分が親の立場になった場合は、親として子どものお年玉をどう管理し、どう使っていくのかを家庭内で子どもを交えて話し合ってみるのもいいでしょう。
出典
学研キッズネット お年玉に関するアンケート
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級