先日近所に「ドラッグストア」ができたのですが、売り場の半分以上が「食料品コーナー」です。お得な商品も多くて嬉しいのですが、なぜ「薬局」の食料品は安いのでしょうか?
配信日: 2025.01.05
従来は医薬品の販売が中心だったドラッグストアですが、近年は食料品が売り場の大半を占めるような店舗も珍しくありません。ドラッグストアはなぜ食料品の販売に注力するのでしょうか。本記事では、ドラッグストアが食料品に注力する背景や、食料品がお得な理由を解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
ドラッグストアの国内店舗数は「約1万9000店舗」で市場規模も拡大
経済産業省の「商業動態統計」によると、2023年小売業販売動向において、ドラッグストアの店舗数は全国約1万9000店舗で、前年比3.3パーセントの増加となっています。
2014年と2023年のデータを比較すると店舗数は約46パーセント、販売額は約69パーセント増加しており、ここ10年間でドラッグストアの市場規模は約1.7倍に拡大しています。
ドラッグストアの店舗数が右肩上がりに増加している理由としては、消費者の高齢化や健康志向の高まり、節約意識や消費動向の変化、コロナ禍の特需に伴う新規出店の加速、調剤併設型ドラッグストアの増加などが挙げられます。
ドラッグストアでは「食料品」の「売上寄与度」が大幅に増加
コロナ禍では衛生用品や日用消耗品の需要が急拡大しましたが、アフターコロナの現在では販売額全体に対する商品別の寄与度は変化しています。同じく経済産業省の「商業動態統計」によると、ドラッグストアの2023年販売額に対する商品別寄与度は、表1のような結果となりました。
表1
商品 | 販売額 | 前年比 |
---|---|---|
食料品 | 2兆6871億円 | 12.3パーセント |
家庭用品・日用消耗品・ペット用品 | 1兆2127億円 | 7.1パーセント |
ビューティーケア(化粧品・小物) | 1兆526億円 | 9.4パーセント |
OTC医薬品 | 9906億円 | 8.8パーセント |
調剤医薬品 | 7955億円 | 10.6パーセント |
トイレタリー | 6593億円 | 3.3パーセント |
ヘルスケア用品(衛生用品)・介護・ベビー | 5215億円 | -3.3パーセント |
健康食品 | 2725億円 | 6.4パーセント |
その他 | 1521億円 | -4.3パーセント |
合計 | 8兆3438億円 | 8.2パーセント |
出典:経済産業省「2023年小売業販売を振り返る;3年連続の増加となった小売業販売」を基に筆者作成
2023年におけるドラッグストアの販売額は合計8兆3438億円で前年比8.2パーセントの大幅増となっており、なかでも食料品が販売額全体の3割以上を占める結果となりました。ドラッグストアは医薬品販売のイメージが強いかもしれませんが、現在では食料品が売上の大きな柱となっていることが分かります。
「ドラッグストア」の「食料品」はなぜ安い? 「食料品」に注力する背景
近年のドラッグストアでは食料品が売上の大きな柱となっていることが分かりましたが、そもそもなぜドラッグストアは食料品に注力するようになったのでしょうか。
ドラッグストアが食料品に注力する背景には、いわゆる「客寄せ」の狙いがあります。購入頻度の高い食料品を扱うことで、顧客の来店頻度を高めることが可能だからです。例えば、家や職場の近くに食料品も豊富なドラッグストアがあれば、スーパーやコンビニの代わりに利用する顧客も増えるかもしれません。
また、お菓子類やインスタント食品などを中心に、ドラッグストアの食料品はスーパーより安いケースもあります。経営戦略や店舗によっても異なりますが、ドラッグストアの食料品が比較的安い理由としては、以下のようなものが挙げられます。
●食料品はあくまで「客寄せ」で大きな利益は求めていない
●全国展開のドラッグストアは大量に仕入れて安く売ることが可能
●ドラッグストアは直営店比率が高いため安く売っても利益を得やすい
すべての食料品が安いわけではありませんが、スーパーよりお買い得な商品があれば、賢くドラッグストアを利用したいものです。
まとめ
今回はドラッグストアの食料品について解説しました。売上寄与度の高まりもあり、食料品販売に力を入れるドラッグストアも増えています。商品によってはスーパーよりお得なケースもあるため、身近なドラッグストアを賢く活用しましょう。
出典
経済産業省 2023年小売業販売を振り返る;3年連続の増加となった小売業販売
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー