上京して「都市ガス物件」に住んだら、ガス代の安さにびっくり! なぜ全国で都市ガスを使わないの? それぞれの費用も比較
配信日: 2025.01.06 更新日: 2025.01.07
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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都市ガスとプロパンガス、どう違うの?
都市ガスとプロパンガスは、成分や供給方法に大きな違いがあります。
都市ガス
都市ガスは主にメタンを主成分とする天然ガスと液化天然ガス(LNG)が原料で、地下に埋設されたガス管を通じて供給されます。供給エリアは都市部が中心となります。
プロパンガス
プロパンガスは液化石油ガス(LPG)を使用し、ボンベで各家庭に配送されるのが一般的です。ガス管の敷設が難しい地域でも利用できます。
発熱量の違い
プロパンガスと都市ガスは成分が異なるため、同じ体積だとプロパンガスのほうが都市ガスの約2倍の発熱量になります。つまり、必要な使用量は、プロパンガスは都市ガスの半分ですむのです。
実際の価格差はどれくらい? 都市ガスは本当に安い?
都市ガスもプロパンガスも、料金は「基本料金+使用量に応じた従量料金」で計算します。平均的な家庭での使用量を1ヶ月あたり20立方メートル(都市ガスの場合)とした場合の料金を比較してみましょう。
都市ガスの平均料金
1ヶ月あたり20立方メートル使った料金を東京ガスの料金表から計算すると、以下のとおりです。
基本料金+使用量×基準単位料金
759円+20立方メートル×145.31円=3665.2円
プロパンガスの平均料金
プロパンガスは、都市ガスに比べ熱量が約2倍となるため、必要な体積は半分の10立方メートルとします。
日本エネルギー経済研究所の2024年10月の確報によると、東京都では以下のとおりです。
基本料金+10立方メートルあたり料金
1897円+8246円=10143円
都市ガス料金は約3670円であるのに対して、プロパンガス料金は約1万円強と、2.7倍以上も割高になることが分かります。もちろん地域や会社によっても異なりますが、相対的に都市ガスのほうが安いと言えるでしょう。
なぜプロパンガス料金は高い?
プロパンガスの料金が高い理由には、主に輸送コスト、事業者間の競争不足、そして需要の分散が挙げられます。プロパンガスは、ボンベを各家庭に配送し、必要に応じて交換する仕組みが一般的です。この配送や交換には手間やコストがかかり、その分が料金に反映されています。
また、地域によってはプロパンガス事業者が少ない場合があり、十分な価格競争が行われていないことも一因です。このような状況では、利用者が高い料金を支払わざるを得なくなることがあります。さらに、都市ガスのように1つのガス管を使って多くの家庭に供給する形態とは異なり、プロパンガスは個別供給が基本です。
このような構造的な要因が、プロパンガス料金の高さに直結しているのです。
なぜ都市ガスは全国で使われていないの?
都市ガスが全国に普及していない理由には、インフラ整備にかかるコストや地域ごとの特性が大きく関係しています。
インフラ整備の課題
都市ガスの供給には地中にガス管を敷設する必要がありますが、これには多額の費用と時間がかかります。人口密度の低い地方では、このコストを回収するのが難しいため、整備が進まないのが現状です。
地域特性による選択
プロパンガスは、ガス管が不要でトラックでの配送だけで供給できるため、離島や山間部でも利用可能です。さらに、災害時にはプロパンガスのボンベを持ち運べるため、復旧が早いという利点もあります。
まとめ
このように、都市ガスとプロパンガスの価格差や利用状況には、インフラや供給方法の違いが大きく影響しています。都市ガスは確かに安価で便利ですが、その普及には高いコストが伴い地方では、現実的ではない場合が多いのです。
とは言え、住む場所によってガス事情は大きく異なるため、引っ越し先を選ぶ際には光熱費も含めて総合的に検討することが大切です。都市ガス物件に住んでいる場合はメリットを活かし、賢い家計管理を目指しましょう。
出典
東京ガス株式会社 ガス料金表(家庭用/業務用・工業用 共通)
一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 石油情報センター 一般小売価格 LP(プロパン)ガス 確報(偶数月調査) LPガス月別
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー