「転職先」が合わない場合の「短期離職」はハイリスク？その後の転職活動への影響とは

近年、働き方やキャリア形成に対する価値観の多様化が進み、「転職」という選択肢が以前にも増して一般的になっています。しかし、転職後の環境が合わず短期間で離職してしまう「短期離職」は、キャリアの足跡に影響を与える可能性があるため、慎重な検討が必要です。
 
本記事では、短期離職のデメリットや、その後の転職活動への影響を説明します。また、採用担当者の視点から見た懸念点や、短期離職後でも転職を成功させるためのコツも紹介するので、参考にしてください。

短期離職のデメリット

厚生労働省の2021年3月の新卒者を対象にした調査によれば、就職後3年以内の離職率が新規高卒就職者で38.4％、新規大学卒就職者で34.9％です。職場定借支援や就職支援を行っているものの、離職率が上昇しており、短期間での離職が問題となっています。
 
短期離職にはいくつかのデメリットがあり、最も大きなものは職務経歴が安定していないと見なされることです。履歴書や職務経歴書に短期間の在職歴が多いと、「忍耐力がない」「責任感に欠ける」といった否定的な印象を与える可能性があります。
 
また短期離職は、スキルや経験の蓄積に影響を及ぼすことも考えられます。長期的なプロジェクトに関与する機会が少ないため、キャリアの幅が狭まりがちです。
 
さらに、短期離職を繰り返すことで、転職市場での評価が低下し、希望する職種や企業に応募しにくくなることもあるでしょう。安易な短期離職は、将来的なキャリアに大きな影響を与えるリスクが少なくないため、慎重な判断が求められます。
 

短期離職が転職活動に与える影響

短期離職は、転職活動の際に大きな影響を与える可能性があります。
 
企業の採用担当者は、応募者の職務経歴を確認する際、短期間で退職した理由に注目します。正当な理由や納得のいく説明がない場合、「すぐに辞めるリスクがある」と判断され、書類選考や面接で不利になることがある点に注意が必要です。
 
さらに、短期離職が多いと「キャリアの一貫性に欠ける」と見なされ、専門性や能力が評価されにくくなることもあります。
 
一方で、短期離職の理由が業界の不況ややむを得ない事情による場合、誠実に説明することで理解を得られることもあるでしょう。転職活動では、短期離職の背景を明確にし、自身のポジティブな側面をアピールする工夫が重要です。
 

採用担当者が短期離職者に抱く印象

採用担当者は、短期離職者に対して一般的に慎重な姿勢を取ることが多いため、特に頻繁に転職を繰り返している応募者には、安定性や信頼性を懸念する声が少なくありません。
 
また、「職場環境や人間関係に問題を感じやすいのではないか」「組織への適応力に課題があるのではないか」といった疑念を抱く場合もあります。
 
ただし、短期離職の理由が明確であり、それが本人の成長やスキルアップにつながっている場合は、ポジティブに受け取られることもあります。
 
採用担当者は応募者の背景を総合的に判断するため、短期離職の理由やその後のキャリアに一貫性があることを説明できれば、ネガティブな印象を和らげることが可能です。
 

短期離職後の転職を成功させるコツ

短期離職後に転職を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。
 
まず、短期離職の理由を正直かつ前向きに説明できる準備をすることが重要です。具体的には、前職で学んだことや、現在目指しているキャリアについて具体的に話すことで、短期離職を成長の一環として捉えてもらえます。
 
また、応募先の企業や職種について十分に調査し、長期的に働ける環境を選ぶと成功につながりやすいでしょう。さらに、転職エージェントを活用して専門的なアドバイスを受けるのも有効です。
 
面接では、自己分析を深め、短期離職の経験をポジティブに生かしていることを伝えることで、採用担当者に信頼感を与えられます。
 

短期離職の影響と転職成功の鍵

短期離職は転職活動や採用担当者の印象に影響を与えるため、注意が必要です。しかし、正当な理由や成長意欲を伝えることで、そのデメリットを軽減することは可能です。転職を成功させるためには、短期離職を正しく説明する準備を整え、慎重にキャリアを選ぶことが重要です。
 
短期離職の経験を自己成長やスキルアップにつなげる視点を持つことで、より良い未来へと進む道を切り開くことができるでしょう。
 

出典

厚生労働省　新規学卒就職者の離職状況(令和３年３月卒業者)を公表します
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー