更新日: 2024.10.10 家計の見直し
〈家庭でできるマネー教育〉 ④子供もたくさん貯めたい!? 貯蓄の意味と方法をどう伝えるか?
お金には、「価値尺度」「交換手段」「貯蔵手段」の3つの機能があります(貨幣機能)。そのうちの1つである貯蓄について、お金の使い手である子供でも、実はなんとなくわかっています。それを「なんとなく」でなく、「正しく」理解しておくと、将来「知らなかったから損をした!」ではなく、「知っていたからたくさん溜まった!」「知っていたから損を回避できた!」と、うまくお金とつきあえるようになれるかもしれません。
Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士
アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
自身の子育て経験を踏まえて、明日の子どもたちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性の起業,事業承継を中心に経営サポートを行い、大学では経営学や消費生活論の講義を担当している。
子供は「貯蓄」をどこまで理解している?!
1万円以上のお年玉をもらっている子供は、小学生低学年で63%、小学生中学年で78%、小学生高学年で85%います(金融広報中央委員会「子供のくらしとお金に関する調査(第3回)」(2015年度)より)。それだけのお金をすぐ全部使うということは滅多になく、残ったら「貯蓄する」ことになります。
実際のお年玉の取り扱いでも、「銀行や郵便局などに貯蓄(預金や貯金)する」との回答が半数近くを占め、次いで「家の人に渡す」となっています。
自分の貯蓄については、「ある」との回答が4割で、次いで「あるようだが、家の人が管理している」が3割と、およそ7割が貯蓄をしています。小学生低学年で約7割、中学年で約8割、高学年で9割弱が「お金をたくさん貯めたい」と回答しており、貯蓄への意識が高いことがわかります。
ただし、金融用語の理解度をみると、「保険」など日常のくらしに関わる事項は概ね理解されているものの、「利子や複利」などに対する正答率は2~3割と低いのが現状です。
貯蓄をしない子供は、欲しいものをすぐに買ってしまう傾向にある?!
「どうすれば貯蓄ができますか?」という質問は、FP相談にてよく受けます。実は考え方を一つ変えると、貯蓄ができるようになります。
これまで「お金が溜めることができない」と悩んでいた方は、多分「収入-支出=貯蓄」と考えていたのだと思います。つまり、「残ったら(余ったら)貯蓄にまわす」という考え方です。これでお金が貯まるのは、収入の大きな人くらいです。今後は「収入-貯蓄=支出」と考えてみましょう。まず貯蓄の目標額を決め、それを達成するためには、毎月いくらずつ貯蓄をすればよいかを知った上で、毎月一定額を貯蓄にまわし、残りのお金でやりくりをするようにすると、お金は確実に溜まります(すぐに使えないようなところに預けておくことが前提です)。
子供も、お小遣いやお年玉で好きなもの・買いたいものを買い、もし余ったら貯蓄しよう、と考えているうちは、お金は溜まりません。中学生で約3割、高校生で約2割が、「定期的に貯蓄」しています。そして、「定期的に貯蓄している」子供は、「おこづかいの使い方について、計画を立てている」、「おつりをもらったら、確認している」、「レシートをもらったら、金額を確認し、持ち帰っている」割合が高くなっています。
その一方で、「お金はもらっているが、貯めていない」子供は、「欲しいと思ったものは、すぐに買ってしまう」割合が高いという結果も出ています。
お金の使い方は、堅実タイプ、楽観タイプと性格によるところも大きいですが、お金の貯め方も同じで、計画的に取り組むことが重要なのです。