シングルマザー歴5年で「貯金ゼロ」に…息子をしっかりと育て上げたいのですが、生活保護に頼るしかないでしょうか?
配信日: 2025.02.14

シングルマザーになってから数年で貯金が底を尽いてしまうケースもあるでしょう。経済的に生活が困難になると、「生活保護に頼るしかない」と考えるようになるかもしれません。
そこで今回は、シングルマザーの経済状況や利用できる国の制度について調べてみました。生活保護の利用条件についてもご紹介しますので、参考にしてください。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
シングルマザー世帯の生活状況
同調査によると、令和2年におけるシングルマザー自身の平均年間収入は272万円(平均年間就労収入:236万円)で、世帯収入は373万円であるとのことです。
国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査」では、給与所得者の平均年収は433万円(男:532万円/女:293万円)となっていて、シングルマザーの生活状況は、平均と比較して厳しいといえるでしょう。
シングルマザーの預貯金額の状況については「50万円未満」の方が39.8%です。シングルマザーになってから経済状況が悪化して、貯金を取り崩して生活したため、貯金が底を尽いてしまうケースがあっても不思議ではありません。
しかしこれから子どもを育て上げるにはお金が必要ですし、自身の老後生活への備えもしなければなりません。経済的に厳しい状況にある場合は、早急な対策が不可欠です。
シングルマザーが利用できる国の制度
経済的な安定を図るために、シングルマザーが活用できる国の制度があります。また、自治体によって独自の制度を設けている場合もあります。例えば神戸市の「ひとり親家庭のための応援ハンドブック」で紹介されている制度の一部は以下の通りです。
・手当
「児童扶養手当」はひとり親家庭の児童を対象としていて、所得や児童の人数などにもよりますが、月額1万740円~4万5500円の支給が受けられます。子どもの年齢や所得によって月額1万円~1万5000円(第3子以降は3万円)が支給される「児童手当」も利用できます。
・住まい
家賃をおさえるために「公営住宅」への応募も検討できるでしょう。家賃補助が月額1万5000円(最大6年間)受けられる「ひとり親世帯家賃補助制度」もあります。
・仕事
「公共職業安定所(ハローワーク)」を始め、児童扶養手当を受給中もしくは申請中の方が利用できる「ひとり親就労サポート事業」などを活用して、仕事探しができます。「職業訓練」「ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金事業」「就職に有利な資格取得支援事業」など、スキルアップにつながる制度も利用してみるといいでしょう。
・医療
医療費の一部を助成する「ひとり親家庭等医療費助成」があります。所得が基準以下であるなどの事情があれば「国民健康保険料の減免」が受けられる場合があります。
・助成
児童扶養手当受給世帯の方は、「JR通勤定期券の特別割引」で定期券を3割引で購入可能です。税の所得控除、非課税、減免の対象になる場合もあるため、行財政局市民税課や税務署に尋ねてみるといいでしょう。
・子どもの就学
文房具・教材・給食などの費用に困っている保護者は「就学援助」を受けられます。通学定期券が全額補助される「ひとり親家庭高校生等通学定期券補助事業」も経済的に大きな助けになるでしょう。
生活が困難になった場合は……。生活保護の利用条件
病気やけがなどの理由で仕事ができなくなるなど、どうしても生活が困難になってしまうケースも考えられます。暮らしに困っている人は、国民の権利として生活保護の申請も検討できます。
生活保護は世帯単位を原則として、国が定める最低生活費と世帯収入を比較し、不足額が保護費として支給される制度です。収入には、世帯の全ての給料・手当・賞与・仕送り・年金・保険金などが含まれます。
生活保護を利用するにあたって、預貯金や土地・家屋など資産があれば活用すること、能力に応じて働くことなど、条件がある点に注意が必要です。生活保護は、生活に困った場合に利用できる最終手段だといえるでしょう。申請手続きをする場合は、まず居住地域を管轄する福祉事務所の生活保護担当まで足を運び、事前相談をします。
生活保護以外にさまざまな国の制度が検討できる
厚生労働省の調査によると、シングルマザーの平均年間収入は272万円(平均年間就労収入:236万円)で、全体の平均と比較すると、生活は楽でないといえるでしょう。
預貯金額についても50万円未満が約4割で、シングルマザーになってから貯金が底を尽いてしまうケースがあっても不思議ではありません。子育てや自身の老後生活への備えもあるため、経済状況を立て直す必要があるでしょう。
シングルマザーは「児童扶養手当」「ひとり親世帯家賃補助制度」「税の所得控除」「ひとり親家庭等医療費助成」など、国や自治体の手当・住まい・仕事・医療・助成・子どもの就学などに関する制度を活用できます。
生活保護もこれらの制度の一つですから「病気で仕事ができなくなった」などの理由で生活に困ったときは、最終手段として利用を検討できるでしょう。
出典
厚生労働省 令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要(36、49ページ)
国税庁 令和2年分 民間給与実態統計調査
神戸市 ひとり親家庭のための応援ハンドブック お子さんの年齢別主な支援制度(9ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー