一部の企業が採用時に設ける「試験登用期間」とは一体何?期間中の雇用契約はどうなっているの?

配信日: 2025.02.21
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一部の企業が採用時に設ける「試験登用期間」とは一体何?期間中の雇用契約はどうなっているの?
「試験登用期間」という言葉を耳にしたことはありますか? これは、企業が従業員を正式に雇用する前に、その能力や適性を評価するための期間を指します。
 
この記事では、試験登用期間の具体的な内容や目的、注意点などをわかりやすく解説します。
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試験登用期間とは

試用期間は、従業員の人柄や能力、適性を見極め、本採用の可否を判断するために設けられる期間です。入社後すぐに十分な成果を出せるとは限らないため、企業と従業員の双方が適性を確認できるよう、一定期間の試用期間が設けられるのが一般的です。
 
実際に、多くの企業が試用期間を導入しており、その割合は86.9%にのぼります。正規従業員の試用期間の長さは、新卒採用の場合、「3か月程度」が最も多く66.1%を占め、次いで「6か月程度」が18.3%、「2か月程度」が8.4%です。
 
中途採用でも同様の傾向が見られ、「3か月程度」が65.7%と最も多く、続いて「6か月程度」が16.5%、「2か月程度」が8.3%となっています。「6か月以上」に及ぶケースは、新卒採用で19.8%、中途採用で18.9%であり、両者で大きな違いはありません。
 
試用期間の長さは各企業の就業規則によって決められ、一般的には「3か月~6か月程度」に設定されることが多いものの、法的な上限はありません。「6か月以内」、特に「3か月以内」とすることが一般的ですが、企業ごとに異なります。
 
見極めには一定の期間が必要な一方で、試用期間が長すぎると従業員に不安を与えかねません。特に、1年以上の長期にわたる試用期間は、従業員の不安を高め、離職や求職者からの敬遠につながる可能性があります。そのため、適切な期間を設定することが重要です。
 

試用期間中も雇用契約は成立している

試用期間であっても、雇用契約は正式に成立しています。契約は口頭でも成立しますが、労働条件に関するトラブルを防ぐため、多くの企業では契約書を取り交わしています。
 
試用期間の雇用契約も、正社員と同様に就業規則や契約書に基づいて締結されるため、「まだ採用選考中」という扱いにはなりません。また、試用期間中は解約(解雇)できる権利を企業側が留保しているため「解約権留保付きの契約」として運用されるのが一般的です。
 

試用期間は正社員以外にも適用可能

試用期間は、新卒・中途採用を問わず設定できます。さらに、正社員に限らず、契約社員やパート、アルバイトなど、さまざまな雇用形態に適用が可能です。
 
重要なのは、試用期間が「同じ雇用形態の初期段階」として扱われる点です。そのため、試用期間中は契約社員として働き、本採用後に正社員へ移行するという形を、一つの契約として扱うことはできません。
 
契約社員から正社員へ登用する仕組みを導入する場合には、まず契約社員として雇用し、契約終了後に改めて正社員の契約を結ぶ必要があります。
 
したがって、求人票の備考欄には、「契約社員として勤務し、契約期間終了後に本人の希望や実績を踏まえて正社員登用を検討する」といった記載をするのが適切です。
 

試用期間中の労働条件は基本的に本採用と同じ

多くの企業では、試用期間中も本採用後と同じ労働条件を適用しています。ただし、一部では試用期間中の給与を低めに設定するケースもあります。試用期間と本採用後で異なる条件を設けることは可能ですが、それぞれの労働条件を明確に示さなければなりません。
 
最低賃金を下回らない範囲であれば、企業は試用期間中の給与を自由に設定することが可能です。さらに、都道府県労働局長の許可を得れば、一定の条件のもとで最低賃金を下回る設定も認められます。
 

試験登用期間とは、企業が従業員を正式に採用する前に、その能力や適性を評価するための期間

試験登用期間とは、企業が従業員を正式に採用する前に、その能力や適性を評価するための期間です。一般的には「試用期間」とも呼ばれ、入社後すぐに十分な成果を出せるかどうかを企業が見極めるために設けられます。
 
期間は企業ごとに異なりますが、多くは3か月~6か月程度です。この期間中でも正式な雇用契約は成立しており、企業は「解約権留保付きの契約」として運用することが一般的です。
 
また、試用期間は正社員だけでなく、契約社員やアルバイトなどにも適用されます。ただし、「試用期間中は契約社員で、本採用後に正社員」といった形でひとつの契約にまとめることはできず、別の契約として扱わなければなりません。
 
労働条件は基本的に本採用と同じですが、一部の企業では試用期間中の給与を低く設定する場合もあるのです。最低賃金を下回らない範囲であれば、企業は自由に設定できます。
 

出典

独立行政法人 労働政策研究・研修機構 従業員の採用と退職に関する実態調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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