年収「1000万円」でもお金は貯まらない? 高所得層の貯蓄事情を調査!
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」にて給与所得者の平均給与は460万円とのことですが、年収1000万円を超えていれば高所得層に該当して貯金もたくさんできると思うかもしれません。しかし、年収が高ければ貯蓄額も高いとは一概に言い切れないでしょう。
そこで本記事では、1世帯当たりの貯蓄現在高をはじめ、年収1000万円超え世帯の現在貯蓄高と内訳などを解説します。
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1世帯当たりの貯蓄現在高はどのくらい?
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」によると、2人以上の世帯、2人以上の世帯のうち勤労者世帯の貯蓄現在高と内訳は、図表1のとおりです。
【図表1】
| 2人以上の世帯 | 2人以上の世帯のうち勤労者世帯 | |
|---|---|---|
| 貯蓄現在高 | 1904万円 | 1474万円 |
| 金融機関 | 1873万円 | 1430万円 |
| 金融機関以外 | 31万円 | 44万円 |
※総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」より筆者作成
金融機関は通貨性預貯金、定期性預貯金、生命保険など、有価証券(債券、貸付信託・金銭信託、株式、投資信託)を合算した金額です。
また、貯蓄保有世帯の中央値は、2人以上の世帯が1107万円、2人以上の世帯のうち勤労者世帯が895万円でした。
年収1000万円超え世帯の現在貯蓄高と内訳
同調査によると平均年収は、2人以上の世帯が642万円、2人以上の世帯のうち勤労者世帯が769万円とのことです。そのうち、年収別の現在貯蓄高とその内訳は、2人以上の世帯が図表2、2人以上の世帯のうち勤労者世帯が図表3のとおりで、それぞれが現在貯蓄高の高さと年収の高さが比例する結果になっています。
【図表2】2人以上の世帯
| 平均 | 第I階級 | 第II階級 | 第III階級 | 第IV階級 | 第V階級 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ~334万円 | 334~477万円 | 477~651万円 | 651~889万円 | 889万円~ | ||
| 年間収入 | 642万円 | 260万円 | 401万円 | 561万円 | 759万円 | 1231万円 |
| 貯蓄現在高 | 1904万円 | 1445万円 | 1928万円 | 1667万円 | 1829万円 | 2652万円 |
| 金融機関 | 1873万円 | 1443万円 | 1915万円 | 1648万円 | 1791万円 | 2568万円 |
| 金融機関外 | 31万円 | 2万円 | 14万円 | 19万円 | 38万円 | 84万円 |
※総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」より筆者作成
【図表3】2人以上の世帯のうち勤労者世帯
| 平均 | 第I階級 | 第II階級 | 第III階級 | 第IV階級 | 第V階級 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ~491万円 | 491~637万円 | 637~785万円 | 785~1001万円 | 1001万円~ | ||
| 年間収入 | 769万円 | 379万円 | 566万円 | 706万円 | 882万円 | 1309万円 |
| 貯蓄現在高 | 1474万円 | 876万円 | 1028万円 | 1283万円 | 1666万円 | 2517万円 |
| 金融機関 | 1430万円 | 869万円 | 1010万円 | 1255万円 | 1610万円 | 2407万円 |
| 金融機関外 | 44万円 | 7万円 | 18万円 | 28万円 | 56万円 | 110万円 |
※総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」より筆者作成
住宅・土地のための負債も抱えている
現在貯蓄高が高くても、住宅・土地のための負債を抱えている世帯も多いです。負債現在高を見てみると現在貯蓄高と同様に、年間収入が高い世帯ほど負債を抱えています。年間収入に対する負債額は、2人以上の世帯が図表4、2人以上の世帯のうち勤労者世帯が図表5のとおりです。
【図表4】
| 平均 | 第I階級 | 第II階級 | 第III階級 | 第IV階級 | 第V階級 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ~334万円 | 334~477万円 | 477~651万円 | 651~889万円 | 889万円~ | ||
| 年間収入 | 642万円 | 260万円 | 401万円 | 561万円 | 759万円 | 1231万円 |
| 負債現在高 | 655万円 | 72万円 | 275万円 | 666万円 | 1019万円 | 1243万円 |
※総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」より筆者作成
【図表5】
| 平均 | 第I階級 | 第II階級 | 第III階級 | 第IV階級 | 第V階級 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ~491万円 | 491~637万円 | 637~785万円 | 785~1001万円 | 1001万円~ | ||
| 年間収入 | 769万円 | 379万円 | 566万円 | 706万円 | 882万円 | 1309万円 |
| 負債現在高 | 1309万円 | 493万円 | 887万円 | 1101万円 | 1184万円 | 1380万円 |
※総務省統計局「家計調査報告 貯蓄・負債編 2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」より筆者作成
年収が高ければ貯蓄現在高も高い傾向
年収1000万円でもお金が貯まるかどうかは、一概には言い切れません。ただし、年収が高い世帯ほど現在貯蓄高が高いことは総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年(令和5年)平均結果の概要」より分かっています。
とはいえ、世帯年収や現在貯蓄高が高くても、住宅や土地などの負債を抱えていることが多いです。世帯年収が高い世帯でも、確実にお金が貯まるかどうかは負債がどのくらいあるのかによっても異なるでしょう。
出典
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
