交通費をもらって「自転車」でバイト先に行く娘。「ほかの人もやってる」とのことだけど、バス代として支給されてるのに大丈夫? バレたら全額返す必要があるのではないでしょうか?

配信日: 2025.03.06

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交通費をもらって「自転車」でバイト先に行く娘。「ほかの人もやってる」とのことだけど、バス代として支給されてるのに大丈夫? バレたら全額返す必要があるのではないでしょうか?
アルバイト先から支給される「交通費(通勤手当)」は、通勤にかかる費用を補助するという目的で支払われているものです。
 
一般的に電車やバスなどの運賃や、車のガソリン代の補助として支給されているイメージがありますが、自転車で通勤している場合、通勤にかかる「実費」がないのにもかかわらず、交通費を受け取ることは問題がないのでしょうか。
 
本記事では、交通費の基本的な仕組みと、自転車通勤における注意点について詳しく解説していきます。
渡辺あい

執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)

ファイナンシャルプランナー2級

交通費とはどのような扱いなのか

会社側が従業員に交通費を支給する義務は、法律では定められていません。交通費は労働基準法上「賃金」の一部となっているものの、実は会社の従業員に対する福利厚生のひとつとしての性格が強いのです。
 
そのため、会社によって交通費支給の有無や金額、条件が異なることがあり、中には交通費そのものの支給がない場合や、従業員の雇用形態によって対応が変わるというケースもあります。
 
なぜ法律に規定のない交通費が「賃金」の一部とされているのでしょう。これは、通勤自体は労働時間ではないものの、仕事を行うために欠かせない「労働の一部」と考えられているからです。
 
そのため交通費の支給は、仕事へ行くための従業員の費用負担軽減と、この「労働」に対する対価となっているのです。
 

「自転車」は交通費の対象?

自転車での通勤は、電車通勤やマイカー通勤のように、通勤にかかる費用が発生していませんが、交通費の対象になるのでしょうか。
 
そもそも交通費の支給に関しては法律で決められているわけではないので、各会社の就業規定によって異なります。そのため、「自転車通勤には交通費を支給しない」と会社が決めているのであれば、その規定に従わなければいけません。
 
一方、国税庁では「通勤手当と所得税」についての概要の中で、「マイカー」だけでなく「自転車」で通勤する人も支給対象に含めるとしています。
 
したがって、自転車通勤者も条件が整えば交通費を受け取れる可能性があると言えるでしょう。ただし、最終的には会社ごとの方針によるため、対象になるかどうかは事前の確認が必要です。
 

「ウソ」の申告はNG

国税庁の解釈を基準に考えれば自転車通勤が交通費支給の対象となると考えられますが、基本的には会社の規定によります。会社が自転車通勤も対象と認めている場合は、交通費を受け取っても問題ありません。
 
しかし会社が「交通費の支給はマイカー、公共交通機関に限る」と規定しているのに、「バス通勤」と偽って実は自転車で通勤していたという場合は、「相手を騙して交通費を不正に受け取った」ことになるため、詐欺罪が適用される可能性もあります。
 
この場合、不正に受給していた交通費の全額返金を求められるだけでなく、会社の解雇や、法律上の責任も問われる可能性も考えられるので、虚偽の申告は絶対にやめてください。
 

交通費の申請は会社の規定をよく確認しよう

国税庁では、自転車通勤も交通費の対象としています。ただし、会社に「バス通勤」と伝えて交通費を受け取っているのに、自転車で通勤してバス代を受け取ると、不正受給になるおそれもあります。
 
交通費の支給に関しては会社の規定によるところが大きいので、交通費の申請の際には会社の規定を必ず確認し、会社の規定に則るようにしましょう。
 

出典

国税庁 No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
国税庁 No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
 
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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