時短のため「乾燥機能付き洗濯機」を買ったのに、「冬は電気代が高いから」と妻が相変わらず外干ししています。パート先で時給1150円なので、そう考えるとむしろ「損」なのではないでしょうか?
配信日: 2025.03.07

ところが中には「乾燥機能があっても使わずに外干しをする」人もいます。乾燥機能があるからといって毎日使わなければいけないわけではありませんが、時短と節約をてんびんにかけて、どちらが得なのかは気になるのではないでしょうか。
本記事では、乾燥機能にかかる電気代を試算します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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どうして「冬は電気代が高い」のか
まずは「冬は電気代が高い」といわれる理由について考えましょう。今回の場合、「冬は電気代が高い」という言葉には以下の3つの意図が込められていると考えます。
(1)1ヶ月あたりの電気代は冬が高くなりがち
(2)夏より冬のほうが消費電力の高い家電がある
(3)政府の電気代補助が少なくなる
1年のうちで一番電気代がかかる季節は冬、とりわけ1月から3月の間です。エアコン、電気ストーブ、こたつなどの暖房器具が消費電力の多くを占めていますが、洗濯・乾燥機の割合はどうなのでしょう?
経済産業省 資源エネルギー庁「冬季の省エネ・節電メニュー(2023)」によれば、家庭における1日の電気使用の2.2%を洗濯・乾燥機が占めています。そして、洗濯・乾燥機の乾燥機能を「部屋干しと併用して使用時間を短く」することで、0.5%の電力を削減できるとしています。
1日で一番電気代がかかっている家電であるエアコンは、冷房と暖房で定格消費電力が異なります。冷房より暖房のほうが電気代はかかるのです。一方、2番目に電気代のかかる冷蔵庫は、夏のほうが電力消費量は多いです。乾燥機能付き洗濯機の場合は季節による違いはありません。
政府の電気代補助として行われていた「酷暑乗り切り緊急支援」は2024年10月使用分までで打ち切られましたが、続いて「電気・ガス料金負担軽減支援事業」が発表されました。
「家庭の電力使用量の最も大きい時期である1月から3月の冬期の電気・ガス代を支援する」として2025年1月~3月使用分は値引きが受けられるのですが、「酷暑乗り切り緊急支援」と比べて値引き額は少なめです。
乾燥機能にかかる電気代
一般的な洗濯乾燥機は、洗濯よりも乾燥のほうが消費電力は大きいです。
1回あたりと1ヶ月あたりで電気代を試算します。電気代単価は全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価に基づき、キロワットアワーあたり税込み31円で計算します。
(例)日立BD-SX130KL
消費電力量(洗濯):180ワットアワー
消費電力量(乾燥):1240ワットアワー
消費電力量(洗濯~乾燥):1150ワットアワー
・洗濯1回あたりの電気代
(洗濯のみ)36分
180ワットアワー÷1000×31円=5.58円
(洗濯~乾燥)93分
1150ワットアワー÷1000×31円=35.65円
(洗濯~乾燥のうち乾燥にかかっている部分)57分
35.65円-5.58円=約30円
・1ヶ月(31日)あたりの電気代
(洗濯のみ)
5.58円×31日=約173円
(洗濯~乾燥)
35.65円×31日=約1105円
(洗濯~乾燥のうち乾燥にかかっている部分)
1105円-173円=約932円
乾燥だけで考えると、1回あたり57分で約30円、1ヶ月あたり約932円かかっています。乾燥時間がかなり長いので、「取り出すまで待てないから自分で干そう」と考えるか、「自分の時間を使わないのだから待つべき」と考えるかは人それぞれです。
仮にパートの時給が1150円の人にとって「1ヶ月あたり約932円の電気代」は1時間の労働でまかなえる額です。乾燥機を使うことで1日15分多く働けるなら、稼ぎはいくらになるでしょうか。パートを週5日として1ヶ月(4週間)で考えると以下のようになります。
0.25時間(15分)×20日(1ヶ月)×1150円=月5750円
まとめ
電気代が一番かかる季節が冬なので、なんとか努力して節電しようと「乾燥機能があるのに使わない」という選択をする人もいることでしょう。今回の試算から、3つの行動が考えられます。
・月約932円を節約するため自分で干す
・1日15分休みたいので乾燥機に任せる
・1日15分多めに働いて月約5750円稼ぐ
どの行動を選択するかは考え方次第です。
とはいえ、洗濯・乾燥機の使用電力は家庭の中で2.2%しかないので、暖房器具の使用方法を見直したほうが節電になる可能性が高いでしょう。せっかく時短家電を持っているなら、ぜひ活用して、ほかの部分で節電できるとよいですね。
出典
経済産業省 資源エネルギー庁 冬季の省エネ・節電メニュー2023年度 ご家庭の皆様
経済産業省 資源エネルギー庁 電気・ガス料金負担軽減支援事業
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー