子育ても落ち着いたのでフルタイムで働きたい…夫には「扶養範囲内」にしてほしいと言われましたが、手取りは共働きのほうが高いですよね?

配信日: 2025.03.07
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子育ても落ち着いたのでフルタイムで働きたい…夫には「扶養範囲内」にしてほしいと言われましたが、手取りは共働きのほうが高いですよね?
子育ても落ち着くと、今まで専業主婦だった方がフルタイムで働くことを検討する家庭もあるでしょう。しかし、扶養に入っていた方がフルタイムで働くと、扶養していた方の税額は高くなります。
 
夫の手取り額が変わるので、働きたいときは事前に話しておく方がよいでしょう。今回は、扶養範囲内とフルタイムで働くメリット・デメリットや世帯の手取り額などについてご紹介します。
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扶養範囲内とフルタイムで働くメリット・デメリット

扶養範囲を超えて働くか検討するときは、まず働き方の特徴を理解する必要があります。
 

扶養範囲内の場合

扶養範囲内で働くと、所得税や社会保険料の負担がありません。また、配偶者が扶養範囲内で働いていれば、夫は配偶者控除を受けられるため、夫の手取り額も増加します。さらに、会社によっては扶養手当を支給されるところもあり、収入が多くなる可能性もあるでしょう。
 
一方で、扶養範囲内で働いていると、妻が将来受け取れる年金は老齢基礎年金のみになります。結婚までに勤務経験があれば老齢厚生年金も受け取れますが、結婚後にフルタイムで働いたケースと比較すると少なくなるでしょう。また、扶養範囲を超えないように勤務時間を調整する必要があります。
 

フルタイムの場合

フルタイムで働くと、世帯収入が増えるため、家計に余裕が生まれます。また、フルタイム勤務は条件を満たしていれば社会保険に加入するため、老後は老齢厚生年金も受け取れる点もメリットです。事業所によっては、パートのフルタイムから正社員雇用してもらえる場合もあるでしょう。
 
しかし、夫の扶養から外れることで所得税や社会保険料の負担が発生します。また、夫の税額も増加するので、扶養から外れる際は夫婦で話し合って決めた方がよいでしょう。
 

夫と妻の手取りはどう変わる?

今回は、以下の条件で手取りがどれくらい変わるかを比較しましょう。
 

・夫婦ともに東京都新宿区在住40代
・夫は年収400万円
・妻が働く場合は東京都の最低賃金時間額1163円で週5日、1日8時間勤務
・1ヶ月を4週とする
・賞与は考慮しない
・全国健康保険協会に加入
・配偶者控除以外の控除は社会保険料控除、給与所得控除、基礎控除のみ
・給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除は令和6年度のもの
・住民税は所得割10%、均等割5000円で計算

 

夫の税額と手取り

まず、夫の社会保険料は以下の通りです。
 

・健康保険料と介護保険料:年額23万6232円
・厚生年金保険料:年額37万3320円
・雇用保険料:年額2万4000円
・社会保険料合計:63万3552円

 
これらを基にすると、配偶者控除の有無で夫の税額や手取りは表1のように変わります。
 
表1

配偶者控除なし 配偶者控除あり
所得税の課税所得 164万6000円 126万6000円
所得税率 5%
所得税額 8万2300円 6万3300円
住民税の課税所得 169万6448円 136万6448円
住民税率 10%+5000円
住民税額 約17万4645円 約14万1645円
手取り額 310万9503円 316万1503円

※筆者作成
 

妻の税額と手取り

一方、妻の月収は「1163円×8時間×5日×4週間」で18万6080円、年収223万2960円です。条件を基にすると、社会保険料は以下の通りです。
 

・健康保険料と介護保険料:年額13万2012円
・厚生年金保険料:年額20万8620円
・雇用保険料:年額約1万3398円
・社会保険料合計:35万4030円

 
社会保険料を基にすると、妻の税額と手取りは表2のようになります。
 
表2

所得税の課税所得 64万9000円
所得税率 5%
所得税額 3万2450円
住民税の課税所得 69万9042円
住民税率 10%+5000円
住民税額 約7万4904円
手取り額 177万1576円

※筆者作成
 

フルタイムなら夫婦で働いた方が世帯全体の手取りも増える

扶養範囲内で働くと夫は配偶者控除が適用され、手取りが多くなります。一方、妻が扶養を超えて働くと、世帯の所得は増えるでしょう。
 
今回のケースだと、妻がフルタイムで働くことで夫の手取りは5万2000円減少しますが、妻の手取りが177万1576円になります。減少する手取り額よりも、妻の収入額の方が大きいため、家計の負担を減らす目的なら共働きの方がよいでしょう。
 
もし夫が扶養範囲内にしてほしいというときは、なぜそう思うのか、家計以外の理由があるのかなどを夫婦でよく話し合って決めましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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