「手取り18万円」の会社員。インフルエンザで「5日間会社を休んで」と言われましたが、有休が足りず欠勤になりそうです。給与を減らさないで済む方法はないのでしょうか?
本記事では、インフルエンザにかかった場合に、給与を減らさないための具体的な方法について解説します。
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目次
季節性インフルエンザの場合、出勤停止の法的義務はない
季節性インフルエンザに感染した場合、法律上の出勤停止義務はありません。労働契約に基づく就労の権利があるため、法律上は出勤することも可能です。ただし、多くの企業では、社内での感染拡大を防ぐため、就業規則で「治癒するまで出勤停止」などと定めています。
このような場合、本人が出勤を希望しても会社の判断で休まなければならず、強制的に欠勤となるケースがあります。もし、本人が出勤の意思を示しているのに会社が出勤停止を命じた場合、休業手当を受け取れる可能性があります。
休業手当を受け取れる場合は、会社からの指示を確認しておく
会社からインフルエンザを理由に出勤停止を命じられた場合、労働基準法に基づき、休業手当として平均賃金の60%以上が支払われることがあります。
休業手当を受け取るためには、会社が出勤停止を命じたことを証明できるようにしておくことが重要です。具体的には、会社の指示が口頭のみでなく、メールや書面で明示されている場合は記録として残しておきましょう。
また、休業手当の支払いに関する規定を就業規則で確認し、不明点があれば労働基準監督署に相談することも有効です。
私傷病休暇などの特別休暇がないか確認する
企業によっては、私傷病休暇や特別休暇を設けていることがあります。これが有給休暇として扱われる場合、休んでも給与が減らない可能性があります。特別休暇があるかどうかは、就業規則を確認し、総務部門や上司に相談してみましょう。
会社から有休取得を強制することはできない
労働基準法第39条では、有給休暇の取得時期は従業員の自由な意思によって決められる旨が定められています。そのため、会社が一方的に有給休暇を消化させることは違法行為に該当する可能性があります。
有給休暇が不足している場合は、無給の欠勤扱いになる可能性がありますが、休業手当や傷病手当金を活用できれば、収入減を防ぐことができます。
新型インフルエンザや鳥インフルエンザの場合、法的に出勤停止
新型インフルエンザや鳥インフルエンザの場合、感染症法によって就業が制限されています。この場合、会社の指示による出勤停止は法的根拠があるため、原則として無給の欠勤扱いとなります。
ただし、健康保険制度や公的支援を活用することで、一定の生活保障を受けることができるため、必要に応じて申請を検討しましょう。
4日間以上の休息が必要な場合は傷病手当金がもらえる
インフルエンザの症状が重く、医師の診断により4日以上の療養が必要とされた場合、健康保険から傷病手当金を受け取れる可能性があります。
傷病手当金の支給条件は以下の通りです。
・業務外の事由による病気やけがの療養のための休業であること
・仕事に就くことができない
・連続する3日間を含み、4日以上仕事に就けない
・休業期間中に給与が支払われていない、または傷病手当金よりも少ないこと
傷病手当金の申請書には、医師が記入する欄もあり、医療機関の協力が必要となるため、早めに準備を進めることをおすすめします。
フラフラで仕事ができない場合、会社から出勤停止を言い渡されるケースも
インフルエンザによる体調不良が業務に支障をきたす場合、会社から出勤停止を命じられることがあります。これは、会社には従業員の健康と安全を守る「安全配慮義務」があるためです。労働者が無理をして出勤することで健康を損なう可能性がある場合、会社は働くことを拒否する権限を持っています。
会社が安全配慮義務に基づいて、欠勤を命じた場合、通常は労働者にその期間の賃金は支払われないので注意してください。これは「ノーワーク・ノーペイ」の原則に基づいており、労働者が働かなかった場合には賃金が発生しないからです。
まとめ
インフルエンザで出勤停止を命じられた場合でも、給与の減少を防ぐ方法は複数あります。まずは、会社の就業規則を確認し、特別休暇や休業手当、傷病手当金を利用できるかを検討しましょう。
・就業規則を確認:特別休暇や休業手当の有無を確認。
・休業手当の請求:会社の指示で出勤停止となった場合、60%以上の休業手当を受け取れる可能性あり。
・傷病手当金の申請:4日以上休む場合、健康保険の傷病手当金を利用。
・会社の対応を記録:休業手当の支払いが適切に行われるよう、会社の指示メールなどを記録。
制度を適切に活用し、安心して療養できる環境を整えましょう。
出典
e-Gov法令検索 労働基準法
e-Gov法令検索 労働安全衛生法
厚生労働省 傷病手当金について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
