出産と同時に夫の「扶養」に入り、パートとして働いています。「103万円の壁」引き上げが決まったそうですが、今後働き方を見直した方がよいでしょうか?
配信日: 2025.03.10 更新日: 2025.03.11

政府はそんな「年収の壁」のひとつである「103万円の壁」を引き上げる方針を示しました。「103万円の壁」が引き上げられると、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。当記事では、「103万円の壁」引き上げについて詳しく解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
令和7年3月4日に「年収103万円の壁」見直しなどを含む税制改正の関連法案が衆議院本会議で可決された
政府は令和6年12月27日、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を目指す「令和7年度税制改正の大綱」を公表しました。税制改正大綱のなかで、政府は「物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応」として、いわゆる「103万円の壁」を引き上げる意向を示しています。
具体的には、個人所得課税において、
1.基礎控除について、合計所得金額が2350万円以下である個人の控除額を10万円引き上げる
2.給与所得控除について、55万円の最低保障額を65万円に引き上げる
ことで、所得税に関する「年収の壁」を「103万円」から「123万円」に引き上げる方針を示しました。
今回、衆議院本会議で可決された修正法案では、年収200万円以下の場合は基礎控除をさらに37万円上乗せして95万円とし、これによって課税最低限は政府案の「123万円」から「160万円」へ引き上げられることになります。
引き上げの時期については税制改正大綱のなかで「令和7年分以後の所得税について適用する」と明記されており、実際の対応は所要の措置を講じるようです。
「年収103万円の壁」引き上げがもたらす影響とは?
「103万円の壁」とは、所得税が課税される年収のボーダーラインです。従来の税制では、年収が「103万円」を超えると所得税が発生するため、いわゆる「働き控え」を招くケースも見られました。
「103万円の壁」が引き上げられることで最大「160万円」まで非課税で働けるようになり、働き控えのような「就業調整」の必要がなくなる可能性があります。
働き方を見直すことで「世帯収入」が増える可能性がある
「103万円の壁」の引き上げに伴い働き方を見直すことで、「世帯収入」が増えるケースもあります。従来は所得税を意識し「103万円」までしか働けなかったところ、最大で「160万円」までなら非課税で働くことが可能となるでしょう。
「年収の壁」ぎりぎりまで働ける場合は、単純計算で57万円ほど世帯年収が増える可能性もあります。ただし、「年収の壁」は「103万円の壁」だけではありません。社会保険料が発生する可能性のある「106万円の壁」や「130万円の壁」には、引き続き注意が必要です。
まとめ
今回は「103万円の壁」引き上げについて解説しました。「103万円の壁」は当初の政府案「123万円」への引き上げから、今回の衆議院本会議で可決された修正法案では課税最低限が「160万円」へ引き上げられることになります。
「年収の壁」の引き上げは私たちの生活に大きな影響をおよぼす可能性があります。「年収の壁」引き上げに伴い、働き方を見直すことで「世帯年収」を増やすことも可能でしょう。
出典
財務省 令和7年度税制改正の大綱(1ページ、2ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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