大企業と中小企業で「人手不足」の度合いに違いはあるのでしょうか? 「正社員不足の割合」について、調査結果を基に解説

配信日: 2025.03.14

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大企業と中小企業で「人手不足」の度合いに違いはあるのでしょうか? 「正社員不足の割合」について、調査結果を基に解説
少子高齢化が進む中、人手不足に悩む企業は増えているようです。自社の人手不足を目の当たりにしながら、他社ではどうなのか、大手企業と中小企業で違いはあるのかなど気になる方は多いのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、大企業と中小企業の「人手不足」の度合いを比較しながら解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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正社員の人出不足の度合い

最初に、正社員の人手不足の状況を大企業と中小企業で比べてみましょう。
 

大企業と中小企業の正社員の状況

東京商工リサーチによると、企業全体の正社員の人出不足は、2024年度の調査結果では69.3%で、約7割の企業が人出不足に陥る結果となっているようです。前年度の66.5%から悪化する形となっています。
 
正社員の人手不足の状況を、以下の表1にまとめました。
 
表1

非常に不足 やや不足 充足 過剰
全企業 11.82% 57.50% 26.00% 4.66%
大手企業 13.06% 64.60% 18.28% 4.03%
中小企業 11.69% 56.78% 26.77% 4.73%

※株式会社東京商工リサーチ「2024年 企業の「人手不足」に関するアンケート調査」を基に筆者作成
 
正社員不足のアンケート結果を大手企業・中小企業で分けて見ると、大手企業421社のうち「非常に不足」「やや不足」が8割近くを占め、人手不足に直面しています。一方、中小企業は約7割で、大手企業よりもやや少ない割合です。
 

非正規社員の人手不足の度合い

続いて、非正規社員不足の調査結果を見ていきましょう。
 

大企業と中小企業の非正規社員の状況

東京商工リサーチによると、企業全体の非正規社員不足は38.7%で、正社員不足の約7割から大きく下回ります。半数以上の企業が「充足」しているとの回答でした。
 
非正規社員の人手不足の状況を、以下の表2にまとめました。
 
表2

非常に不足 やや不足 充足 過剰
全企業 5.18% 33.55% 56.92% 4.33%
大企業 4.12% 38.65% 51.80% 5.41%
中小企業 5.30% 32.97% 57.50 % 4.21%

※株式会社東京商工リサーチ「2024年 企業の「人手不足」に関するアンケート調査」を基に筆者作成
 
大企業388社のうち、非正規員が不足していると答えた企業は166社にとどまります。同様に、中小企業3412社のうち、人手不足を訴える企業の数は半数以下の1306社でした。
 

人手不足による中小企業の倒産数

人手不足による倒産率は、大手企業と中小企業とで差があるようです。2024年度の人手不足による中小企業の倒産数は過去最多を記録し、大幅に急増していることが帝国データバンクの統計で報告されています。
 
統計によると、2024年度上半期の人手不足による企業の倒産件数は163件でした。そのうち134件の企業が従業員10人未満、29件が10人から49人の小規模事業者です。
 
なお、東京リサーチの統計では、2024年度の人手不足関連の倒産数は289件で、主な要因としては、求人難と人件費高騰などが挙げられています。また、破産した企業は全体の90%以上で、資本金1000万円未満の企業が大半を占めているとのことでした。
 
小規模事業者は、資金力がもともと乏しい上に、人手不足により収益機会を失いがちで、業績回復の遅延といった悪循環に見舞われやすいとの指摘があるようです。
 

中小企業の方が大手企業よりも人手不足の影響を受けやすい

今回見てきたように、中小企業と大手企業では人手不足の度合いに大きな違いはないものの、人手不足から受ける影響には歴然とした違いがあると考えられます。
 
大手企業よりも、中小企業の方が人手不足による倒産リスクが高まる傾向にあり、とりわけ「2024年問題」「賃上げ圧力」など複数の要因が重なる状況においては、事業規模が小さいほど人手不足による影響を受ける可能性があるといえるでしょう。
 

出典

株式会社東京商工リサーチ 2024年 企業の「人手不足」に関するアンケート調査
株式会社帝国データバンク 人手不足倒産の動向調査(2024年度上半期)
株式会社東京商工リサーチ 2024年の「人手不足」関連倒産
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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