2025年4月から、失業給付の給付制限が「1ヶ月」に!? これまでとどう変わる? 月収25万円の会社員の「受給額」もシミュレーション
配信日: 2025.03.15

本記事では、失業給付に関するルール変更について解説します。給与アップのために転職を検討している人もいるはずですので、ぜひ参考にしてください。

執筆者:小林裕(こばやし ゆう)
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート
失業給付・給付制限とは
失業給付(失業保険)とは、求職者が安定した生活を送りながら再就職するための支援として給付を受けることができる制度です。
ただし、この失業給付には「給付制限」があります。自己都合退職等の場合には一定期間失業給付を受けることができない期間があります。この「給付制限」の期間は、退職後「2ヶ月間」です。
つまり退職後「2ヶ月間」は給付を受けられないため、生活に困る人が出てしまうと想定されます。
2025年4月から給付制限が1ヶ月に変更
前項で触れた「給付制限」ですが、2025年4月からは制限期間が「2ヶ月」から「1ヶ月」に変更されることになりました。この変更によって、今までより早期に失業給付を受けられるようになるため、自己都合退職者が安心して再就職先を探すことができる環境が整うでしょう。
教育訓練受講で給付制限が解除に
前項で「給付制限」の制限期間変更について触れましたが、求職者が「教育訓練」を受講する場合には、給付制限期間が解除されるルールも新設されます。
具体的には、離職期間中や離職日前1年以内に、給付対象となる教育訓練を行った場合には、給付制限が解除されるというものです。ジョブチェンジや国家資格の取得などを目指している人には、非常に役立つ変更内容でしょう。
失業給付にて受給できる金額の計算
失業給付の受給金額は「基本手当日額」と「給付日数」で計算できます。
「基本手当日額」は、離職日の直前「6ヵ月」に毎月支払われていた、「賞与を除いた賃金」の合計金額を180で割って算出した「賃金日額」の「45~80%」です。なお、「45~80%」の給付率については年齢や賃金日額により変化します。
また「給付日数」については、1ヵ月間に受給できる金額は最大28日分(4週間分)であることに留意が必要です。つまり月単位の受給金額は「基本手当日額×28日」で算出することになります。
具体的に失業給付の受給金額をシミュレーション
今回は、月収25万円の元会社員(45歳以上60歳未満)が失業給付を受ける場合についてシミュレーションします。
「賃金日額」=月収25万円×6÷180=約8333円
「基本手当日額」=「賃金日額」×「50~80%」
「基本手当日額」=約4166円~約6667円
この計算結果より、月単位での受給金額は約11万6648円~約18万6676円となります。2025年4月からは受給制限期間が「2ヶ月」から「1ヶ月」に変更されることになったため、従来よりも早く失業給付金を受給できるようになりました。
失業給付の注意点
失業給付を受ける際には注意点もいくつかあります。まず求職活動実績を失業認定申告書に記載しハローワークに報告をする必要があります。求人への応募や、ハローワークで職業相談や職業紹介を受けるなどの活動を行いましょう。
また、受給期間中にアルバイトやパートで勤務すると支給を受けられなくなる可能性もあります。以上の注意点について不安がある場合、ハローワークに相談するようにしましょう。
まとめ
本記事では、失業給付に関するルール変更について解説しました。2025年4月から、自己都合退職者が再就職を行う期間の支援がより手厚くなるようです。
終身雇用が当たり前ではなくなっている現状のため、この失業給付制度などを利用しながら、ジョブチェンジによる給与アップなどを目指してみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省 令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について
厚生労働省 教育訓練給付制度
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート