新電力会社と従来の電力会社では「費用差」はどのくらい?料金以外に「違い」はある?
配信日: 2025.03.16

そこで今回は、従来の電力会社と新電力会社の料金を比較し、新電力会社はどれくらい安いのか、どのようなメリットがあるのかを解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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従来の電力会社と新電力会社の料金を比較
従来の電力会社と新電力会社の電気料金は、表1の通りです。電気料金は、従来の電力会社として東京電力の「従量電灯B」、新電力会社は2社の価格を基に比較します。
表1
電気料金 | 東京電力 | A社 | B社 | |
---|---|---|---|---|
基本料金 (1契約) |
10アンペア | 311円75銭 | 311円74銭 | 0円 |
15アンペア | 467円63銭 | 467円61銭 | ||
20アンペア | 623円50銭 | 623円48銭 | ||
電力量料金 (1キロワットアワーあたり) |
120キロワットアワーまで | 29円80銭 | 29円70銭 | 36円85銭 (従量料金) |
120キロワットアワー超〜 300キロワットアワーまで |
36円40銭 | 35円69銭 | ||
300キロワットアワー超 | 40円49銭 | 39円50銭 |
※筆者作成
基本的に電気料金は、表1に記載の基本料金と電力量料金、それに加えて「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の3つの合計で計算されます。
再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、再生可能エネルギーの買取費用の一部をその電気を使用する契約者で負担する仕組みにおいて発生する費用です。
該当する年の電力会社の買取費用に基づいた交付金の見込額や電力会社の想定供給電力量を基に国が定めて金額が決まります。東京電力では、2024年5月分から2025年4月分までは1キロワットアワーあたり3.49円となっています。
また、電力量料金は、燃料価格の変動に合わせて燃料費調整額を足したり引いたりする場合もあるようです。
このように、電力料金は料金表を見ただけでは比較が難しいですが、東京電力とA社では各項目でA社の方が安くなっています。また、B社は電力量料金が使った量に関係なく一律です。そのため、他社と比べると単価が高い印象を受けますが、基本料金が0円に設定されています。
20アンペアの契約で電力量を200キロワットアワー使用したと仮定し、それぞれの料金を比較しましょう。なお、再生可能エネルギー発電促進賦課金や燃料費調整額を省いた状態で計算します。
・東京電力:7903円50銭
・A社:7761円48銭
・B社:7370円
以上のように電力量を200キロワットアワー使用した場合、新電力会社の方が100円〜500円ほど安くなる可能性があります。
新電力会社を選択するメリット
新電力会社を選択するメリットは、以下の3つが挙げられます。
・電気料金が安くなる
・電力供給の安定度はそのままで安く利用できる
・自分に合ったプランを選択できる
新電力会社の方が、電気料金を安くできる可能性が高いです。例えばガス会社が提供する新電力の場合、ガスの契約をまとめて行うと割引されるサービスがあるようで、同じようにお得に利用できるプランを設けている会社もあります。
また「新電力会社に電気の供給を任せて、停電になるようなことはないのか」と疑問に思う人もいるでしょう。しかし、電気が送られてくる仕組みや電線が変更になるわけではないため、停電や明るさの変化を心配する必要はありません。
2000年3月から電気の小売自由化が始まり、2021年4月の時点で新規参入した新電力会社は700社以上となっています。そのため、電力会社の選択肢が増え、自分に合った電気料金プランが見つかりやすくなるでしょう。
新電力会社を選択するデメリット
新電力会社を選択するデメリットは、以下の通りです。
・新電力会社によって違約金が発生する
・新電力会社が倒産したり撤退したりする
・比較検討を怠ると電気料金が高くなる
新電力会社によっては、解約するときに違約金が発生する可能性があります。契約時にしっかりと確認しないと、安い電力会社を見つけてもすんなりと変更できないかもしれません。
また、契約している新電力会社の倒産や撤退も十分に考えられます。帝国データバンクの発表によると「2024年3月時点では119社が倒産・撤退・廃業した」そうです。
さらに、料金が安いと思い新電力会社に切り替えた結果、実際に使ってみると料金が高くなる可能性もあります。料金プランを確認してしっかりとシミュレーションをしたうえで、新しい電力会社に切り替えるようにしましょう。
従来の電力会社から新電力会社に切り替えると、1ヶ月あたり500円程度安くなる可能性がある
従来の電力会社から新電力会社に切り替えた場合、料金プランや電気の使用量によって異なるものの、1ヶ月あたり500円程度安くなる可能性があります。
また、電気が送られてくる仕組みに変更はないため、停電や明るさの変化などは心配ないでしょう。
ただし、新電力会社の選び方を間違えると電気料金が安くならない場合もあるため、事前に料金シミュレーションを行い、適切な電力会社を選択しましょう。
出典
東京電力エナジーパートナー 従量電灯B・C「従量電灯B 料金単価」
東京ガスグループ「電気料金メニュー『基本プラン』契約・料金の仕組み」料金について
帝国データバンク「『新電力会社』事業撤退同行調査(2024年3月)」
東京電力エナジーパートナー「賦課金等について」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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