年収103万円の壁が引き上げられる!? いつからスタート? もう決定した? 年収の壁に関わるニュースを解説
配信日: 2025.03.21

今回は、見直しの進捗状況や、具体的な変更後の年収金額、実施時期、さらに短時間労働の方の税金はどのくらい変わるのか、チェックしていきます。

執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
年収の壁の引き上げはすでに決定!
2024年12月に公表された「令和7年度税制改正の大綱」では、いわゆる「103万円の年収の壁」の引き上げが明記されました。これにより、所得税がかかる年収額が103万円より高くなることがほぼ決定しています。
ただし、具体的に、引き上げ金額がいくらになるのか、また実施時期はいつからなのかは、引き続き国会で議論が行われています。
特に問題となっているのは、引き上げ金額についてです。自由民主党は当初123万円を主張しており、123万円になることが濃厚でした。
しかし、初めに今回の年収の壁の引き上げを主張した国民民主党は178万円にするよう求めており、150万円、所得制限あり160万円などで協議が行われたものの、2025年2月現在も結論は持ち越されています。年収の壁が引き上げられると、政府としては税収入が減ってしまうため、財源が確保できるのかどうかが大きな問題となっています。
年収の壁が引き上げられると、私たちの生活はどうなる?
現在は、年収が103万円を超えると所得税がかかる仕組みとなっています。
年収の壁が引き上げられると、所得税がかからずに働けるようになる人が増えるでしょう。また、年収額を調整して働いていたパートの方などは、労働時間を増やすことができ、家計の収入が増える可能性もあります。
例えば、年収の壁が123万円になった場合だと、年収150万円であれば1~2万円ほどの減税になると想定されます(単身者の方で、所得控除が基礎控除と社会保険料控除のみの場合)。
加えて、労働人口の減少により人手不足となっていた企業などでは、より多くの労働者を確保できるようになるかもしれません。今回の年収の壁の引き上げについて、好意的に思っている企業は少なくないようです。
実施時期はいつから? その他の変更点は?
年収の壁の引き上げは、2025年から始まると考えられていますが、具体的な実施時期は未定です。引き上げの金額が決まり次第、実施時期も決定すると予想されています。
また、今回の税制改正の大綱では、年収の壁の引き上げのほかに、以下のような変更点がほぼ決定しています。
<令和7年度税制改正のおもな変更点>
・給与所得控除の最低保障額の引き上げ
55万円の最低保障額が65万円に引き上げられます。
・特定親族特別控除(仮称)の新設
大学生などの子どもがいる親(納税者)の控除が新設されます。
・確定拠出年金の拠出限度額の引き上げ
個人型確定拠出年金(iDeCo)の第1号被保険者であれば現行の「月額6万8000円」が「月額7万5000円」になるなど、確定拠出年金の拠出限度額が引き上げられます。
これからの税制がどのように変更されていくのか知りたい方、また、変更点の詳細について興味がある方は、令和7年度税制改正の大綱をチェックしてみましょう。
まとめ
税制は、私たちの生活に大きな影響を与えます。控除を受けて、税金の負担を減らすためには、税制を理解しておくことが大切です。今後行われる予定の変更点についても、最新のニュースをチェックし、必要に応じて働き方などを見直していきましょう。
出典
財務省 令和7年度税制改正の大綱
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者