テレビを持っていないのに「NHK」の受信料を請求されました。 本当に支払う必要があるのでしょうか?
配信日: 2025.03.24

本記事で、法律の仕組みと実際の運用を確認してみましょう。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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NHK受信料の根拠は「放送法」
NHKの受信料は、放送法第64条に基づいて請求されます。条文には以下のように記載されています。
「協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会と受信契約をしなければならない。」
つまり、NHKの放送を受信することのできるテレビなどの「受信設備」を設置していない人には、契約義務そのものが発生しないと解釈できます。したがって、本当にテレビを設置していない場合は、受信料を支払う必要はありません。
なぜ請求されるのか? よくあるケース
なぜ、「テレビを持っていないのに請求された」という事態が起こるのでしょうか。実は、本人が気づかないうちに“受信契約の対象”となっているケースも少なくありません。ここでは、よくある具体的なパターンを紹介します。
テレビを持っていないのに請求されたという人は、次のようなパターンに該当する可能性があります。
1. ワンセグ機能付きの携帯電話やカーナビを所有している
最高裁の判例(2019年)では、「ワンセグ機能付きの携帯電話も、放送を受信できる設備に該当する」と判断されました。つまり、テレビがなくても、ワンセグ対応スマホを持っていれば受信契約が必要になります。
2. 過去に受信契約を結んだ履歴がある
引っ越しする前にテレビを持っていてNHKと契約していた人が、引っ越し後にテレビを処分したとしても、解約手続きをしなければ契約は継続中と見なされます。この場合、NHK側は契約者として請求を続けることが可能です。
3. 訪問員の説明で誤解して契約してしまった
訪問員の説明に不安を感じ、「仕方なく契約してしまった」というケースもあります。一度契約してしまうと、たとえテレビを持っていなくても、契約が続くかぎり受信料の支払い義務が生じるため注意が必要です。
テレビがない場合の対処法
実際にテレビを持っていないにもかかわらず、NHKから請求が来た場合はどのように対応すればよいのでしょうか。契約の有無によってとるべき行動が異なりますので、それぞれのケースに応じた対処法を確認しておきましょう。
テレビを持っておらず、NHKから受信料を請求された場合の対処法は、以下のとおりです。
(1)契約していない場合 → 支払い義務なし
この場合、支払う必要はありません。仮に訪問員が来た場合でも、テレビやワンセグ機能付きの携帯電話などNHKの放送を受信できる設備がないことを明確に伝えれば契約する必要はありません。ただし、うそをつくのはやめましょう。
(2)すでに契約している場合 → 解約手続きを行う
テレビを処分した場合やワンセグ機器を手放した場合は、速やかに解約の申請を行いましょう。NHKの公式サイトや電話で手続きが可能で、必要に応じて機器の廃棄証明などの提出が求められることもあります。
NHKの受信料は、受信設備の有無によって義務が変わります。思い込みや曖昧な記憶で判断せず、自分の状況を正しく把握して、必要な対応をとることが大切です。不要な支払いを避けるためにも、落ち着いて対処しましょう。
「支払わないと裁判される」って本当?
NHKと契約しながら受信料を払わない場合、NHKから裁判を起こされる可能性があります。多くの場合、「支払督促」が申し立てられ、裁判所から書類が届きます。
過去には、受信設備を保有していたにもかかわらず契約を拒んだケースで、NHKが訴訟を起こし勝訴した例もあります。しかし、受信設備を持っていない場合に契約を強制されたり、訴えられたりすることは基本的にありません。
「テレビなし」なら基本は契約不要
NHKの受信料制度は「受信設備の有無」が前提条件です。受信設備を設置している場合は、契約義務があります。一方、テレビやワンセグ機能付き機器、カーナビなどの受信設備を一切持っていない人は、原則として契約義務も支払い義務もありません。
ただし、過去に契約した履歴があったり、誤って契約してしまっていたりする可能性もあるため、請求書が届いた場合は一度、自分の契約状況をNHKに確認することをおすすめします。必要のないお金を支払わないためにも、自分の状況に合った正しい対処を心掛けましょう。
出典
日本放送協会 NHK もっと詳しく(1) 放送受信料の支払いは義務?
日本放送協会 NHK よくある質問集
日本放送協会 NHK 放送受信契約の解約
日本放送協会 NHK放送文化研究所 最高裁大法廷,放送法の受信料制度を合憲と判断
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー