営業1年目で「契約0件」でも上司に叱られない謎。理由は企業の「採用コスト」にある? 昨今の風潮も含め解説
配信日: 2025.03.25

上司が厳しく指導してくれないと、焦る気持ちが生じたり、会社が自分にかけたコストに見合った働きができていないと悩んだりするかもしれません。
本記事では、上司が部下を叱れない理由や、会社が新人の採用や育成にかけている人材コスト、叱られなくても成長する方法について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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叱れない上司が増えた背景とは?
上司の中には「今の若手は打たれ弱い」と感じる人もいるかもしれませんが、必ずしもそうとも言い切れません。むしろ「成長したい」という意欲を持っている若手も多くいるでしょう。
では、なぜ上司は叱ることを躊躇(ちゅうちょ)するのでしょうか?
理由としては、まずはハラスメント問題への配慮が挙げられます。近年、企業では「パワハラ防止」が強く叫ばれ、指導の仕方にも気を使う時代になりました。上司が厳しく叱責したことによって部下が精神的に追い詰められ、心身に不調をきたすと、会社側が責任を問われる可能性もあります。
また、中には「叱られたい」と思う若手もいますが、反対に叱られることに慣れていない人もいるはずです。厳しく叱った結果、若手が退職してしまうと、採用コストや教育コストが無駄になってしまいます。昨今は全国的に人手不足ですので、人を再度確保するのも簡単ではありません。
会社がかけている人材コストはいくらくらい?
営業1年目の社員には、会社が大きな投資をしています。就職みらい研究所の「就職白書2020」によると、採用にかかるコストは学生1人あたりで93万6000円です。ほかにも、研修費や給与、福利厚生などを考えると、会社は新入社員に対して年間数百万円単位のコストをかけていると言えるでしょう。
このように、企業側は人材採用に多額の投資をしています。だからこそ、辞められるリスクを減らすために、過度な叱責を避けている面もあると考えられます。
叱られなくても成長する方法
「自分が成長するために叱られたい」という前向きな気持ちは素晴らしいものです。とはいえ、昨今は上司が部下を厳しく叱ることは少なくなってきています。そのため、別の方法で自身の成長を目指すことが大切です。
例えば、上司に自ら「もっと具体的な指導をしてほしい」と伝えるのも1つの手段です。「叱ってください」ではなく、「どこが悪かったのか具体的に知りたい」と言えば、上司としても指導がしやすくなるでしょう。
また、先輩の営業を観察し、学ぶことも大切です。契約を取れている先輩の仕事の進め方や顧客への接し方などをよく見て、自分の営業スタイルと比較しましょう。
ほかにも自分で目標を設定し、振り返る習慣を身につけると、成長が期待できます。上司に叱られるのを待つのではなく、自分で課題を見つけて改善していきましょう。
まとめ
営業1年目で契約が取れず、厳しい指導を求める気持ちはポジティブで価値があるものです。しかし、上司が叱らない背景には、ハラスメント対策や人材コストの問題が関わっています。
叱られなくても成長するためには、積極的にフィードバックを求め、自己成長の意識を持つことが重要です。上司が叱らなくても、自ら学び続ける姿勢があれば、必ず結果につながるでしょう。
出典
株式会社リクルート 就職みらい研究所 就職白書2020
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー