車通勤で「通勤手当」が支給される場合、会社帰りに「車で」買い物に行っても問題ないのでしょうか?
配信日: 2025.04.16

しかし通勤手当をもらっている従業員の中には、行き帰りのついでに私用を済ませる人がいるかもしれません。今回のケースのように途中のスーパーで買い物をしたり、近くの飲食店で食事をしたりするといったケースです。
この場合、通勤手当を不正に受給していることにならないか心配になることもあるでしょう。
本記事では、通勤手当の受給者が通勤中に私用をすませることが問題ないかについて解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
通勤手当に関する厳密な法的制約はない
通勤手当は多くの企業で導入されているとはいえ、企業に対して義務として定められているものではありません。
支給するかどうかはあくまで企業の裁量に任されています。実際、従業員に対して交通費を支払っていない企業もあります。
この点を踏まえると、通勤手当を受けている受給者が、その通勤の往復においていくらか私用をすませることがいいかどうか、法律的な観点からは明確な定めがないといえるでしょう。
交通費の規定は「就業規則」がベースになる
通勤費に関する支給規定についてはおもに「就業規則」がベースになると考えられます。就業規則には、賃金や休日・休暇、退職などに関する項目が記載されますが、通勤手当について明文化している企業も少なくないようです。
就業規則に記載されている場合、以下のような項目について定められている可能性があります。
・支給要件(交通手段など)
・支給金額の上限
・支給金額の計算方法
・車の使用範囲
どれほどの細則が就業規則に盛り込まれているかは企業により異なります。自身の会社の就業規則を一度読み返す、企業の担当者に相談するなどルールを確認しておくと無難といえます。
実費での支給でなければ問題ないケースも考えられる
企業が通勤手当を計算する場合、以下のような方法が採用できます。
・通勤距離や燃費などをもとに1日分の交通費を算出する
例:1日分の交通費=往復の通勤距離÷車の燃費×ガソリン1リットルあたりの単価
上記の計算の場合、実際にかかったガソリン代ではなく、あらかじめ通勤距離をもとにした額のみの支給となります。この場合、仮に寄り道をして余計なガソリン代がかかっても、その分は実質的に従業員が負担することになるでしょう。
このようなケースでは、通勤距離に関して虚偽の申告(距離を意図的に多く伝える)を行っていない限り、寄り道しても通勤手当の不正受給は発生しないと考えられます。
通勤手当を不正に受給すると処分の対象になる可能性も
通勤手当の受給方法によっては、懲戒処分の対象になってしまうおそれもあります。もし何らかの不正受給が認められた場合、企業側は戒告や減給、出勤停止、解雇などの行動に出るかもしれません。
東京都豊島区においては、令和5年に行われた調査において、84名の職員による不正受給が発覚しました。その結果、戒告、減給などの処分が下されています。不正内容は「届け出た通勤経路と実際の通勤記録が異なっていた」というものでした。
あからさまな悪意があったか、それとも報告を怠っていたかは定かではありませんが、通勤手当の不正受給は企業側にも従業員側にも大きなマイナスとなり得ます。
「実際とは異なる経路や手段で通勤して手当を水増しする」「虚偽の住所を報告して実際よりも遠方から通勤しているように見せかける」といった不正受給は、絶対に避けるべきでしょう。
通勤途中の寄り道の可否は就業規則による
通勤手当は法律で支払い範囲が定められているわけではないため、各企業の就業規則によって制約の幅が変わります。
そのため通勤途中で寄り道してよいかどうかは、就業規則にのっとって判断しなくてはなりません。自分では判断しかねる場合は、勤務先に相談するとよいでしょう。勝手に判断すると、後ほど不正受給に問われる可能性もあります。
出典
豊島区 通勤手当の不正受給に係る職員の処分について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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