備蓄米が市場へ? 小売価格はどれくらい「値下げ」が期待できるのでしょうか?
大量の備蓄米を市場に流通させるこの一手で、わたしたちの暮らしはどう変わるのでしょうか?本記事では、備蓄米放出の効果や今後の展望について解説します。
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備蓄米21万トンを放出決定!
2025年2月14日に行った「江藤農林水産大臣記者会見」では、農林水産省は備蓄米21万トンの市場放出を発表しました。
これは、近年の米価格高騰を受けた緊急措置です。放出される備蓄米は、令和6年産を中心に令和5年産も含まれます。3月初めに15万トンの入札が行われ、3月半ばには業者へ引き渡される予定です。これにより、3月末から4月にかけて備蓄米が店頭に並ぶ予定となっています。
米価が高騰している主な要因は三つです。まず、2020年代に入り、パンや麺類の値上がりを受けて米の需要が増えたこと。次に、コロナ禍の収束に伴い、外食の機会が増えたこと。
そして、インバウンド需要が回復したことです。これらが重なって米の需要が一気に高まり、価格上昇につながったと考えられています。
家計への影響は? 米価高騰で年間1万円以上の負担増
米価の高騰は、一般家庭の家計にも大きな影響を及ぼしています。ある調査によると、2025年3月末時点で、スーパーで販売されている5キログラムあたりの平均価格は4206円となり、13週連続で値上がりしているとのことです。
この価格上昇により、年間で1万円以上の負担増となる家庭も少なくありません。特に、子育て世帯や高齢者世帯など、食費の割合が高い家庭では、生活費全体への影響が大きくなっています。
こうした状況を受け、一部の自治体では、米の無料配布やお米券の支給など、家計を支援する取り組みを行っています。
価格の下落はいつ? 備蓄米放出の効果とその限界
備蓄米の市場放出により、米価の安定が期待されていますが、その効果には限界もあります。放出される21万トンの備蓄米は、日本国民のお米消費量の約3~4週間分に相当します。
しかし、2023年11月と2024年11月の在庫量を比較すると、前年比で44万トンほど少ない状況であり、備蓄米の放出だけでは在庫の減少分を補うには不十分といわれています。
さらに、備蓄米は入札を通じて集荷業者に渡されます。現在の供給不足を踏まえると、高値で落札される可能性が高く、小売価格を抑える効果は限定的と見られています。
まとめ
備蓄米の放出は、短期的には米の供給不足を緩和し、価格の安定につながる可能性があります。ただし、根本的な解決には至らず、米価の高止まりが続くかもしれません。
今後も米市場の動向を注視しつつ、家計の負担をできるだけ抑える工夫が求められます。備蓄米の放出が、消費者と生産者の双方にとって持続可能な米市場の形成につながることを期待したいところです。
出典
農林水産省 江藤農林水産大臣記者会見概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
