車通勤をしていますが、ガソリン代が高くて「通勤手当」が高額になりそうです。「社会保険料」は増えてしまうのでしょうか?
例えば車通勤をする際、ガソリン代が高くなったことで通勤手当が高額になってしまい、それによって社会保険料の支払い負担が増えれば、家計への影響はさらに大きくなるでしょう。
本記事では、社会保険料について詳しく解説します。
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社会保険とは
社会保険とは、病気や失業、老後の生活などに備えるための社会保障制度のことです。会社に属する労働者が加入条件を満たす場合には、社会保険に加入する必要があります。社会保険を成り立たせるために、加入者が支払うお金が社会保険料です。
社会保険の種類には、健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5つが広義としてありますが、狭義では健康保険・厚生年金保険・介護保険の3種類とされています。
社会保険料の算定に必要な標準報酬月額
標準報酬月額とは、労働者が労働の対価として得た報酬を一定の範囲で区分し、等級として表したものです。健康保険・厚生年金保険・介護保険の社会保険料の算定には、標準報酬月額にそれぞれの社会保険の保険料率を乗算します。標準報酬月額の等級が高いほど、支払う社会保険料も多くなります。
標準報酬月額の対象となる報酬にはいくつかの種類がありますが、通勤手当も含まれるのです。日本年金機構によれば、標準報酬月額の対象となる報酬の例は以下の通りです。
●基本給
●通勤手当
●残業手当
●家族手当
●役職手当
●勤務地手当
●住宅手当
●年4回以上支給される賞与 など
いわゆる給与が対象となりますが、基本的には4月~6月に得た報酬の総額を基に標準報酬月額が決定されます。つまり、残業が増えて対象月に受け取る給与が多くなると、それにともない標準報酬月額の等級も上がる可能性があります。結果的に、支払う社会保険料が増加することもあるでしょう。
今回の事例のように、ガソリン代の高騰などが理由で受け取る通勤手当が増加した場合でも、同様のことが起こる可能性があります。
なお、標準報酬月額の対象となる報酬は金銭で得たものだけでなく、現物支給で得たものも対象になります。例えば、通勤定期券や回数券、自社製品などです。
標準報酬月額の対象にならないもの
以下に、標準報酬月額の対象にならないものの一例をまとめました。
●見舞金
●祝い金
●退職金
●出張旅費
●交際費
●傷病手当金
●慶弔費
●年3回以下の賞与(標準賞与額の対象) など
見舞金や祝い金のような、労働の対価ではない報酬は標準報酬月額の対象にはなりません。また、不定期かつ一時的に発生する報酬、例えば出張旅費なども標準報酬月額の対象にはなりません。
社会保険料の見直しは毎年9月
日本年金機構によれば、標準報酬月額は4月~6月に得た報酬額の平均によって毎年算出され、その標準報酬月額によって社会保険料が決定されます。ただし、適用されるのは9月からです。つまり、標準報酬月額の等級が変化したなどの理由で、社会保険料が増減するのも9月からというわけです。
社会保険料が変わる可能性があるため、9月は手取り額も変化する可能性があるでしょう。
通勤手当が増えると社会保険料も増える可能性がある
社会保険料は4月~6月に得た労働の対価としての報酬額の平均、いわゆる標準報酬月額を基に算定されます。標準報酬月額は一定の範囲で区分されて等級で表されますが、等級が高ければ支払う社会保険料も多くなるのです。
標準報酬月額の対象となる報酬には基本給や残業手当のほか、通勤手当も含まれます。そのため、何らかの理由で通勤手当が増えて標準報酬月額の等級が上がった場合、支払う社会保険料も増加するでしょう。
出典
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 定時決定(算定基礎届)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
