電気代が「4月請求分」から値上げされる!? わが家の電気代は「月1万6000円」ほどですが、どれだけ負担が増えますか?「5月請求分」以降の値上げについても解説
理由は、国による補助金が縮小されたためです。さらに4月使用分(5月請求分)からは補助金の廃止と再生可能エネルギー発電促進賦課金の値上げも加わり、いっそうの値上げが見込まれています。
本記事では、電気料金が決まる仕組みと、電気料金を構成する「要素」がここ数ヶ月でどう変化しているのかを解説します。月の電気代が1万6000円の場合、どれだけ負担が増えるのかを考えていきましょう。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
電気料金はどう決まる? カギを握る「燃料費調整額」と「再エネ賦課金」
電気料金は、基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金という4つの要素で構成されています。
例えば、東京電力エナジーパートナーの「従量電灯B」で40アンペア契約している場合、基本料金は月1247円です。
電力量料金は電気の使用量に応じて3段階に分かれており、120キロワットアワーまでは1キロワットアワーあたり29.8円、120キロワットアワーを超え300キロワットアワーまでは36.4円、300キロワットアワーを超えると40.49円になります。
ここに加わるのが、燃料費調整額と再エネ賦課金です。
燃料費調整額とは、発電に使う原油や液化天然ガスなど燃料の価格変動を電気料金に反映させるための仕組みです。各月の燃料費調整単価に使用電力量を乗じて算出されます。燃料価格が下落すれば電気料金の「値引き」、高騰すれば電気料金の「上乗せ」が行われます。
再エネ賦課金は、正式名称を再生可能エネルギー発電促進賦課金といい、電力会社が太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電された電気を買い取るための費用を、利用者が負担するものです。
どちらも電気の使用量に応じて、1キロワットアワーあたりいくらといった形で加算もしくは減算されます。
3月使用分から補助金が縮小、電気料金が実質値上げに
実は2025年1~3月使用分(2~4月請求分)の燃料費調整額には、国からの補助金が反映されています。これにより、東京電力の2月使用分の燃料費調整単価は、1キロワットアワーあたり2.50円の補助金を加味して-8.83円でした。
しかし、3月使用分(4月請求分)はこの補助金が1キロワットアワーあたり1.30円に縮小された影響もあり、燃料費調整単価は-7.38円(1.30円の補助金を加味)に変更されています。つまり、使う電力量が同じである場合、1キロワットアワーあたり1.45円、電気料金が高くなるのです。
月の電気料金が1万6000円である家庭の場合、電気使用量はおおよそ458キロワットアワー程度と見込まれます。この使用量に1.45円を乗じると約665円になり、つまり同じ電気使用量であっても約665円の値上げになってしまうのです。
4月使用分はさらに上昇の可能性も
値上げはこれで終わりではありません。4月使用分(5月請求分)からは、再エネ賦課金が1キロワットアワーあたり3.49円から3.98円へと引き上げられます。さらに、これまで残っていた国の補助金(1.30円)も終了する見込みです。
「補助金が反映される前の燃料費調整単価」が変わらないと仮定した場合、補助金の打ち切りによって燃料費調整単価は1.30円分上がります。再エネ賦課金が0.49円上昇することも加味すると、合計で1キロワットアワーあたり1.79円の負担増となります。
4月はそれまでよりも暖房の使用頻度が減り、電気料金自体は下がる可能性が高いものの、仮に同じ458キロワットアワー使った場合、1.79円を乗じた約820円の値上げになる点は押さえておくべきでしょう。
なお、再エネ賦課金は1年間同じ金額が適用されるため、この影響はしばらく続くことになります。
引き続き節電の意識や工夫が必要か
補助金の縮小・打ち切りと再エネ賦課金の引き上げにより、電気料金は今後しばらく上昇が続くと考えられます。
影響を少しでも和らげるには、電力会社や契約プランの見直し、省エネ性能の高い家電への買い替え、そして日々の節電意識を高めることが効果的です。すぐに電気料金が大幅に安くなるわけではありませんが、長い目で見れば確かな効果が出ます。
家計の負担を軽くするためにも、この機会に一度、電気の使い方を見直してみるのも良いかもしれません。
出典
東京電力エナジーパートナー株式会社 従量電灯B・C
経済産業省 資源エネルギー庁 電気・ガス料金支援
東京電力エナジーパートナー株式会社 燃料費調整単価等一覧
東京電力エナジーパートナー株式会社 賦課金等について
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
