クライアントとの会食の支払いで、先輩が「自分のクレカ」を使ってポイントを貯めています。会社にバレたらマズイことになりますか?

配信日: 2025.04.22
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クライアントとの会食の支払いで、先輩が「自分のクレカ」を使ってポイントを貯めています。会社にバレたらマズイことになりますか?
あなたの職場にもいませんか? 会社の経費で支払うはずの会食費を、自分のクレジットカードで立て替えてポイントを貯めている同僚。「別に悪くないでしょ? 」と思われがちですが、場合によっては“NG行為”と見なされるリスクがあります。注意点を含め確認していきましょう。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

クレジットカード払いでポイントを貯める行為は違法?

結論からいうと、すぐに違法というわけではありません。重要なのは「会社のルールに反していないか?」という点です。
 

なぜ問題になる可能性があるの?

会社のルールに反しているかいないかは、どのように判断されるのでしょうか?
 
個人のクレジットカード払いで貯められるポイントは「会社」ではなく「個人の利益」であるということです。会社の経費を使ったにもかかわらず、発生したポイントが個人に帰属するという構図は、会社から見ると「私的流用」と判断されることがあります。
 
したがって場合によっては、「横領」と見なされるケースもありうると考えましょう。
 
例えば、会社が「ポイントやマイルの取得を禁止している」場合や、本来は「会社名義のカードで支払うべきと定めている」場合、個人のカードを利用すると、会社のルールに違反していますので、「横領」「背任」とみなされるリスクもゼロではありません。
 

イメージ事例で確認

イメージ事例で確認しましょう。
 
大手企業でクライアントとの会食、タクシー代などで年間約50万円分の会社経費を個人のクレジットカードで支払いをし、ポイント還元先を社員個人のギフトカードなどにしたケースです。
 
クレジットカードのポイント還元率1%とすると、50万円分の会社経費で5000円分のギフトカードと交換できます。内部監査で、「全社的には法人カード利用が原則」とされていたにもかかわらず、個人カード利用が続いていたことが発覚した場合、当該社員に過去のポイント分(約5000円)の返還命令が決定となりえます。
 
また就業規則違反により、賞与10%カット・減給1ヶ月の懲戒処分となることもあります。また会社によっては、この結果、経費精算のフロー見直しのきっかけになる場合もあるでしょう。
 
例えば、1回あたり8000円程度の会食をアレンジする社員が、領収書を1万円として申請したとします。毎回2000円の差額をキックバックとして獲得し、クレジットカードのポイントも個人につけていたらどうなるでしょう。
 
1回では少額の不正であっても、回数が重なって年間約数十万円相当の不正受給+数千ポイントの私的取得があったという事実が発覚したとします。きっかけは、たいてい会食先の店側が発行したレシートと領収書の不一致、内部通報による場合が多いようです。
 
いったん不一致が発覚すると、徹底的な調査が行われますので、経費システム上の履歴とクレジットカードの名義の突き合わせなどから、私的利益の取得まで判明します。こうなると、全額返還命令と、複数回におよんだ事実から背任行為と判断され、懲戒解雇処分になる可能性もあるでしょう。
 

まとめ

「数千円くらいなら大丈夫」という感覚が積み重なっていくにつれ、不正行為という感覚が慢性化してしまいがちです。気がついたら立派な不正行為とみなされ懲戒対象になる可能性があります。
 
企業の判断基準は、金額の多寡ではなく、故意かどうか隠蔽の有無があったかといった点になります。会社の経費ルールを一度しっかり確認し、疑問があれば事前に相談・申請するのが安心です。
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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