来年「106万円の壁」が撤廃されると聞きました。パート勤めの私も「社会保険」に加入しなければなりませんか…?

配信日: 2025.04.24
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来年「106万円の壁」が撤廃されると聞きました。パート勤めの私も「社会保険」に加入しなければなりませんか…?
扶養内で働く人は、一定の年収を超えると社会保険料を支払う義務が生じて逆に手取りが減少する「106万円の壁」が存在します。しかし、2026年に「106万円の壁」が撤廃されるといわれているようです。これにより、自分も社会保険に加入しなければならないのかと不安に思う人もいるでしょう。
 
本記事では、社会保険の加入要件の変更点や注意点、今後の方針などを解説します。
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2026年10月をめどに「106万円の壁」が撤廃される方針

2024年12月に開催された厚生労働省年金局の社会保障審議会年金部会では、「106万円の壁」と呼ばれる社会保険の賃金要件を撤廃する案が出されており、おおむね了承されているようです。「106万円の壁」とは、一部の企業において短時間労働者が社会保険に加入する義務が生じるボーダーラインのことです。
 
「106万円の壁」が撤廃される背景として、最低賃金の引き上げにより低所得層の税負担の軽減という当初の目的から外れていることが挙げられます。撤廃される時期は2026年10月が目安となっています。
 

労働時間によっては「社会保険」に加入しなければならない可能性も

「106万円の壁」は撤廃される予定ですが、労働時間には引き続き注意が必要です。厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトによると、現行制度では社会保険の加入要件は以下のようになっています。

●従業員(被保険者)51人以上の企業に勤めている
●週の勤務時間が20時間以上(残業時間は含みません)
●給与が月額8万8000円以上(残業代、賞与、通勤手当、臨時の手当は含みません)
●2ヶ月を超えて働く予定がある
●学生ではない(休学中、定時制、通信制の方は、加入対象となります)

このうち、賃金要件は2026年10月を目安に撤廃され、企業規模の要件も段階的に撤廃の方向で審議が進められているようです。一方、労働時間の要件が撤廃される予定は現状ありません。そのため、賃金にかかわらず労働時間が週20時間を超えると社会保険に加入する義務が生じることになります。
 

保険料負担の支援が検討されている

厚生労働省の資料によると、賃金や企業規模の要件が撤廃されることで、新たに約200万人が厚生年金の加入対象になるといわれています。
 
しかし、このままでは労働者の税負担が重くなってしまうほか、新しく加入する人の保険料負担も重くなってしまうでしょう。そのため、厚生労働省は労使折半となっている保険料を企業側が多く負担できる特例を設ける予定のようです。
 
標準報酬月額(被保険者の報酬の月額を区分したもの)が12万6000円以下の人を対象に、負担割合の変更を認める方向で審議が進められています。ただし、この特例はあくまで時限措置で、労働者側の負担をゼロにすることはできません。保険料負担が増える企業にも、支援を検討する方針です。
 
また、厚生労働省は年収の壁・支援強化パッケージを2023年10月に開始しています。年収106万円を超えて社会保険料の支払いが発生するパート・アルバイトなどの方に対して手取りが減らない取り組みを行う企業に、労働者一人あたり最大50万円の支援を行うものです。
 
ただし、これは次期年金制度改正までの対応であり、2025年度末までの時限措置となっています。
 

まとめ

「106万円の壁」は2026年10月を目安に撤廃され、企業規模の要件も段階的に撤廃の方向で審議が進められているようです。一方、労働時間の要件は現状撤廃される予定はないため、賃金にかかわらず労働時間が週20時間を超えると社会保険に加入する義務が生じることになります。
 
また、社会保険の適用拡大に伴い、労使折半となっている保険料を企業側が多く負担できる特例も設けられる予定です。社会保険の加入要件の変更は収入だけでなく、今後の働き方にも影響を与えるため、引き続き動向を注視する必要があるでしょう。
 

出典

厚生労働省
 第24回社会保障審議会年金部会 参考資料1 年金制度改正の検討事項(25ページ)

 第23回社会保障審議会年金部会 資料1 被用者保険の適用拡大及び第3号被保険者制度を念頭に置いたいわゆる「年収の壁」への対応について②(12ページ、25ページ)
 年収の壁・支援強化パッケージ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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