社会人5年目ですが貯金ゼロです。同期は「貯金が100万円を超えた」と言うのですが……。なにか貯金の秘訣はあるのでしょうか?
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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20代の金融資産保有額は?
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」によると、金融資産保有世帯をみると、20歳代単身世帯の金融資産保有額は260万円(預貯金は147万円)、20歳代2人以上世帯の金融資産保有額は508万円(預貯金は175万円)となっています。
中央値でみると、単身世帯100万円、2人以上世帯185万円となっています。中央値とは、調査対象世帯を保有額の少ない順に並べたとき、真ん中に位置する世帯の金融資産保有額のことをいいます。
6ヶ月から1年分の生活費を賄える預貯金があれば、病気や事故で働けなくなったときや会社の倒産などで失業をしたときに慌てずにすみます。
また、結婚、出産、車・住宅の購入、子どもの教育などのライフイベントの資金にも利用できます。余裕資金を投資にまわすことでお金を増やしたり、インフレ時にはお金の価値を維持したりするのにも役立ちます。景気が悪く投資で含み損がでても、預貯金があれば解約せずにすみます。
なお、投資はお金を増やすためだけではありません。特に20代は仕事の能力を高めるための自己投資をお勧めします。
貯金をするには
収入から支出を差し引いたのが貯金です。このことから貯金をするには、収入を増やすか、支出を減らすかの方法しかありません。給料の高い会社に転職できる場合や、今の会社ですぐに出世できる場合を除き、収入を増やすのは容易ではありません。一方、節約して支出を減らすことは誰でもできて簡単です。
ここでは、誰でも実行可能な節約について考えてみます。まずは、家計簿などを活用して家計収支の現状を把握しましょう。家計簿の支出項目は、住居費、水道光熱費、通信費、食費、教育費など大まかなもので構いません。金額の単位も、1円単位である必要はありません。
家計簿を分析することで、どのような支出項目にお金を使う傾向にあるのか、余計な支出項目はなにかについてわかり、翌月の予算作成に役立ちます。
節約の具体例
たとえば、独身の方は、外食が多いので自炊を増やすことで余計な支出を減らし、無駄遣いを控えられます。食費の適正額がわかったら予算を立て支出をコントロールしましょう。
ただし、食費や被服費等の変動費の節約は長続きしないかもしれません。なぜなら、外食を控え自炊に変えるのは労力を要するからです。
そこで最初に見直したいのは、通信費、住居費、光熱費、保険料、サブスクリプション料金、雑誌の定期購読料金、スポーツクラブの月会費等の固定費です。固定費は、毎月ほぼ一定額が出ていく支出なので、一度見直しをしたら削減効果が持続するからです。
たとえば、家賃や住宅ローンの見直し、無駄なサブスクリプションを使っていないか、格安スマホへの切り替えや料金プランの見直しで通信費を削減できないか、LED照明、電気・ガス供給会社の切り替えで光熱費の削減をできないか、保険の保障額は適正かなど検討しましょう。
また、ネットショッピングやクレジットカード、電子マネー等の利用は、ポイントが貯まる等のメリットがある一方、現金のやりとりがみないのでコントロールできない大きな買い物をしてしまう、というデメリットがあります。「ニーズ」と「ウォンツ」を考えて利用しましょう。
ニーズとウォンツを考えて利用する
商品やサービスを購入する場合、「ニーズ」と「ウォンツ」を考えることが大切です。「ニーズ」とは、日常生活に必ず必要なものです。「ウォンツ」とは、単にそのとき欲しいと思うものです。衝動買いが典型例です。
商品やサービスを購入する際、「ウォンツ」は控えましょう。「ニーズ」でも優先順位を考えて購入するようにしましょう。無駄な買い物をして後悔することも防げます。
まとめ
支出がコントロールできるようになったら、貯蓄額を決めましょう。理想の貯蓄額としては手取りの20~30%、税込み年収に対しては15~25%程度が目安になります。
確実に貯めるためには、自動積立定期預金、財形貯蓄などの金融商品を活用するといいでしょう。まずは、6ヶ月から1年分の生活費を貯めましょう。その後はライフイベントに必要な金額を考え貯蓄計画を立てるといいでしょう。
出典
J-FLEC(金融経済教育推進機構) 家計の金融行動に関する世論調査
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
