【2025年4月改正】会社員で「月収30万円」でしたが、4月末で退職予定です。4月から雇用保険の“給付制限のルール”が変わったそうですが、どんな影響がありそうですか?
配信日: 2025.04.28

「失業保険の給付制限」について、2025年4月からの改正で、自己都合退職での待期期間などが見直されました。本記事では、改正された制度の内容と、新たに始まる見込みの制度について説明します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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4月からどのように変わった?
2025年4月からの雇用保険法改正での変更点は、どのようなものでしょうか?
大きな変更点は、「給付制限期間が短くなる」ことと、「働きながら教育訓練を受けやすくなる」ことです。まず、「給付制限期間が短くなる」ことについて説明します。
2025年3月末までは、自己都合退職してハローワークで失業給付の受給手続きを申請すると、待期期間7日間と給付制限期間2ヶ月を経てから、失業給付を受け取れました。4月からは給付制限期間が早まり、待期期間7日間と給付制限期間1ヶ月で失業給付を受け取れます。
給付制限期間内に職業訓練を受けるケースでは、訓練開始で給付制限が解除されて、訓練が終わるまで失業給付の受取期間が延長できます(離職期間中または退職日前1年以内の人が対象です)。
給付制限期間が短くなって、次の仕事が決まるまでの生活費用の見通しが立てやすくなったのが大きなポイントですが、5年以内に3回以上自己都合退職すると、給付制限期間が3ヶ月に延びてしまう点に注意が必要です。
月収30万円だった場合、もらえる金額はいくら?
退職してから失業給付がいくらもらえるのかは、生活する上で気になるところです。失業給付の金額はどのように決まるのでしょうか。
失業給付の金額は、「基本手当日額」と「給付日数」で決まります。基本手当日額は、退職前6ヶ月の給与(ボーナス等を除く)の合計額を180で割った金額の45%から80%です。給付日数は1ヶ月28日で、給付期間と金額は、退職理由や年齢・退職前の賃金額で変動します。
退職前6ヶ月の月収30万円で40歳会社員(雇用保険加入期間18年)だった人が自己都合退職した場合の、失業給付の見込み金額
1:月収30万円×6÷180=賃金日額約1万円
2:賃金日額1万円×0.8-0.3×{(賃金日額1万円-5200)÷7590}×賃金日額1万円=基本手当日額約6103円
3:基本手当日額約6103円×28日=失業給付月額約17万884円
試算例では自己都合退職ですから給付日数は120日、総額約72万2360円が受け取れる見込みになりました。
働きながら教育訓練を受けやすくなるとは?
また、2025年10月から、働きながら教育訓練を受けやすくなるように「教育訓練休暇給付金」という制度が始まる予定です。この制度は、雇用保険に5年以上加入していて、教育訓練を受けるために無給で休暇を取ったときに、生活を支えるために給付金を受け取れます。
教育訓練休暇給付金は、雇用保険に加入している期間に応じて90日から150日受け取れ、金額は失業給付と同じ金額です(このほかにも要件があります)。
雇用保険に加入していない人、雇用保険の失業給付受給が終わった人、就職を目指すフリーランスなど向けには、教育訓練費用と生活費用を対象に年間240万円を最大2年間融資する制度も始まる見込みです。
まとめ
2025年4月からの雇用保険法改正で、次の勤務先を見つけるまでの生活を支えるための失業給付を受け取れる制度が変わり、失業給付の給付制限期間が短くなりました。このほかに、働きながら教育訓練を受けやすくする制度なども始まる予定です。
転職や退職を考えるときに、自分はどんな制度が利用できるのか事前に確認しておくことが望ましいでしょう。
出典
厚生労働省 「雇用保険法等の一部を改正する法律」の成立について
厚生労働省 雇用保険の基本手当日額が変更になります
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー