昔は求人サイトで「入社祝い金」アリの会社をよく見たけど、最近まったく見かけない! 実は4月から規制が強化されたって本当?“禁止の背景”を解説
本記事では、規制された背景や、勤務先から「入社祝い金」や「転勤支度金」が支払われたときに所得税などの税金がかかるのか説明します。
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「入社祝い金」とは、どんなお金?
まずは、入社祝い金とはどんな時に支払われるお金なのでしょうか?
一般的には「入社して1ヶ月以上勤務し、欠勤日が一定以下」など勤務先が設定した条件を満たして働いた人に、給与とともに数万円程度が支払われるお金です。
入社祝い金制度を導入するメリットとしては、主に以下のようなものがあります。
(1)求人への応募者増加
仕事を探している人にとって、給与だけでなく各種手当や福利厚生が充実しているかも重要なポイントであるため、注目されやすくなります。
(2)早期退職の防止・新入社員のモチベーションアップ
入社して短期間で退職される可能性を減らし、仕事へのモチベーションアップにつながりやすくなります。
デメリットとしては「祝い金を出すほど、採用難の仕事かと思われる」「祝い金をもらってから退職されてしまう」など、採用した人材の定着につながらないケースもあります。
求人情報紙などで「入社祝い金」などの記載が減った理由は?
求人情報などで入社祝い金の記載が減った理由は、「支給と記載が禁止された」ためです。禁止の対象は、人材紹介などの職業紹介事業者や求人情報誌などの募集情報等提供事業者です。
すでに2021年4月に職業紹介事業者による祝い金支給が禁止されていましたが、2025年4月からは募集情報等提供事業者も祝い金の支給と記載することが禁止されました。
禁止された背景には、祝い金には人材を採用する企業が職業紹介・情報提供事業者に支払った手数料の一部があてられていたことや、お祝い金目的で就職した人の短期離職などが問題になったことがあります。
今回禁止されたのは、職業紹介・情報提供事業者が入社祝い金などを支払うことと、求人情報紙などに掲載することで、企業が独自で入社祝い金や転職支度金として支払うことは禁止されていません。
入社祝い金・転職支度金などは、税金がかかるの?
それでは、入社祝い金や転職支度金などには、所得税などの税金がかかるのでしょうか。これは、企業が支払う目的や金額などによって、課税対象となる・ならないケースが異なります。
●入社後に働いた対価として支払われた:給与などと同じように、契約金として課税対象になり源泉徴収されてから支払われます
●支払われた金額が20万円以上だった:20万円を超えた部分のお金は、雑所得として確定申告が必要です
●転職にともなう引っ越し費用として支払われた:転居費用の実費に近い金額のケースでは、非課税になります。
入社祝い金・転職支度金を受け取る場合には、明細を確認して、課税なのか非課税なのかを確認しておくと良いでしょう。
まとめ
2025年4月から、求人情報紙などでの「入社祝い金」の記載が本格的に規制されました。入社祝い金とは一般的に、勤務先が設定した条件を満たして働いた人に、給与とともに数万円程度支払われるお金です。
職業紹介事業者や情報提供事業者が祝い金を支払うことと、求人情報紙などに掲載することが禁止されましたが、企業が新しく採用した従業員に入社祝い金や転職準備金として給与とあわせて支払うことは禁止されていません。
仕事を探すときには、給与など待遇だけでなく、長く働ける仕事内容かも調べておく事が望ましいでしょう。
出典
厚生労働省 「就職お祝い金」などの名目で求職者に金銭等を提供して求職の申し込みの勧奨を行うことを禁止しました
厚生労働省 労働者に金銭やギフト券等を提供することは原則禁止になります
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
