1人暮らしで食費「月5万円」は高すぎる? 物価高の今「1食550円」と考えると妥当じゃないの? 最新の“エンゲル係数”についても解説

配信日: 2025.04.30
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1人暮らしで食費「月5万円」は高すぎる? 物価高の今「1食550円」と考えると妥当じゃないの? 最新の“エンゲル係数”についても解説
ここ数年、石油資源などの高騰からくるインフレや円安の影響から食料品や生活必需品の高騰が続き、家計を圧迫しています。一人暮らしでも月の食費が5万円を超えると聞くと、非常に高いように感じますが、これは今の状況下では妥当と言えるのでしょうか。
山田圭佑

FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

最新の「エンゲル係数」はどの程度?

総務省統計局の家計調査によると、2024年12月における「エンゲル係数」(食費÷消費支出×100)は、「二人以上の世帯」において平均値で29.7%となりました。2024年全体では28.3%となり、これは1981年依頼43年ぶりの高水準であると報道されています。
 
ここ60年間ほどのエンゲル係数の推移を見てみると、デフレ経済が始まった1990年代後期~2012年頃が最も低い時期で22%程度、そこからはかなり速いペースでの上昇傾向となっていることがわかります。
 
エンゲル係数は、「消費支出」に占める食費の割合ですので、税金・社会保険料等の天引き額増による手取り収入の減少が起きれば消費支出も減少し、食費は横ばいでもエンゲル係数が上昇することになります。
 
ここ30年ほどで社会保険料率や各種税率がかなり上昇したことを考えると、食料品のインフレだけがエンゲル係数の上昇に影響しているとは言いにくく、総合的な要因によって近年の状況が作られていると考えられます。
 
また、エンゲル係数は、複数人で構成される世帯よりも「1人暮らし」世帯のほうが高くなる傾向にあります(外食や総菜などを購入する回数が増加するため)。それを考えると、現代の日本における1人暮らし世帯のエンゲル係数は30%を超えている可能性があります。
 
仮に30%としても、消費支出総額が17万円/月(ボーナス無しの場合、額面収入は月に21万円程度)の人の食費は5万1000円/月となる計算です。
 
月の食費が5万円である人が1ヶ月に90食を取っているとすると、1回あたりの食費は約550円強、1日あたりでは1700円弱となる計算です。最近ではランチでも1度の外食で税込み1000円を超えることが多いことを考えると、食事は外食や総菜の購入が中心であるという1人暮らしの人にとって、食費が月5万円を超えてしまうことは決して珍しくないでしょう。
 

外食と自炊の使い分けで、自分にとっての最適な食費を見極めよう。

とはいえ、将来の目標に向けた貯蓄が必要である人にとっては、家計費見直しの一環として食費の節約も考えなければなりません。考え方を変えてみれば、外食をはじめとする食費が高騰しているインフレ時代の現在であればこそ、食費の節約で家計に大きな好影響を及ぼすことができるのです。
 
ちなみに、現在4人家族(夫婦と中学生2名、高校生の子どもは寮住まいのために別居)である筆者の家庭では、直近の1ヶ月あたりの食費は約8万円、1人あたりでは約2万円程度でした。少ない月では6万円程度ということもあります。
 
意識して取り組んでいることは以下のとおりですが、いずれも全く無理はしていません。夫婦がともに、料理とそれにともなう作業が苦でないことは、長い目で見ると非常に大きな経済効果を生むと感じています。
 

・食材にはそれほどこだわらず、安い食材をまとめて購入している
・地元直売所の野菜や卵などをよく利用する
・自炊を中心とし、仕事のある日のランチは基本的に手作り弁当
・週に一度、長持ちする常備菜を複数作り置きしている
・外食は月に2~3回で、それほど高くない飲食店を利用する
・3ヶ月に1度程度は家族全員でぜいたくな外食・食べ歩きをする。その際の予算は気にしない(その結果、月の食費が10万円を超える場合もある)

 
筆者の家庭と単純比較はできませんが、1人暮らしであっても1ヶ月あたりの食費を3万円程度に抑えることはそれほど難しくないと考えています。
 
ただ、それを達成するためには外食の頻度を可能な限り減らし、なるべく安価な食材を活用した自炊を中心にする必要があります。栄養価の面でも外食よりは自炊が望ましいため、料理や片付けが苦痛でないのであれば、ぜひ自炊に取り組んでみてはいかがでしょうか。
 

まとめ

食材・外食費の値上げが続く現在では、1人暮らしの食費が月額5万円以上になってしまうことは珍しくありません。一方、だからこそ食費の節約が大きな家計改善効果を生む時代であるとも考えられます。
 
別の言い方をするなら、「自炊のコスパ」がこれほど高まっている時代はありません。これまで苦手意識からあまり自炊をしてこなかったという人も、食糧費のインフレを逆手に取って、料理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
 

出典

総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表2024年12月
総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 2024年
 
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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