家族4人でお米を「月20kg」消費します。月のお米代が「1万7000円」を超え家計に大打撃なのですが、もう「5kg2000円」には戻らないのでしょうか?

配信日: 2025.05.10

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家族4人でお米を「月20kg」消費します。月のお米代が「1万7000円」を超え家計に大打撃なのですが、もう「5kg2000円」には戻らないのでしょうか?
2023年10月に5キログラム2100円程度だった米(コシヒカリ以外のうるち米)の小売価格は高騰し、2025年3月では5キログラム約4400円になりました。家族4人で月20キログラムのお米を消費する家庭では月1万7000円を超える出費となり、家計に大きな打撃を与えています。
 
本記事では米の値段が上がった原因と今後の見通しを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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米の値段が上がった主な原因

米の価格が上昇している背景には、減反政策の変化や農家の高齢化、気候変動など複数の要因が絡んでいます。
 

減反政策と耕作面積減少

2018年に減反政策は正式に廃止されましたが、実質的には形を変えて継続しています。農林水産省は需給バランスを維持するために、生産調整を行っているのです。 具体的には、主食用米の作付面積を縮小し、飼料用米や麦、大豆などへの転換を進めています。
 
実際に、米の作付面積と収穫量は2019年から2023年の間、年々減少しています。ただし、2024年は主食用米の需給見通しについて、前年よりも高い水準を見込んでいます。全国的に天候に恵まれたため、作付面積・収穫量の概算値は前年比に比べて増加している状況です。
 

農家の高齢化

2024年、米農家の倒産・休廃業・解散は過去最多の42件発生しました。小規模農家では高齢化や離農が進む一方、担い手不足が深刻化しています。
 

気候変動と流通構造の問題

2023年の記録的猛暑は米の品質に大きな影響を与え、生産量は前年に比べて約10万トン減少しました。米の需要量に対して生産量は約40万トン不足しました。生産量は不足しているものの、前年の在庫分があるのでデータ上では不足しているとは言えません。
 
しかし、本来在庫があるはずの全農系・全集連系に米が集まっていないため、生産者や小規模な集荷業者が自分たちで米を保管し、在庫があちこちに分散したことが価格上昇につながる構造となっています。
 

米の値段は5キログラム2100円に戻る? 今後の見通しと市場予測

近年の米価は過去にない高騰を見せており、家計への影響も大きくなっています。米の価格推移や政府の対応、今後の見通しについて確認しておきましょう。
 

過去10年の米価推移データから見る異常事態

過去10年間、米(コシヒカリ以外のうるち米)の値段は5キログラム約1800円~2100円で安定していました。しかし、2024年9月に5キログラムあたり約3105円に高騰し、2024年3月では2倍以上となる約4400円になっています。
 

備蓄米放出と政府対策の効果予測

政府は2025年1月31日に備蓄米の運用ルールを見直し、3月上旬には約21万トンの備蓄米放出を決定しました。5キログラムあたり500円程度値下がりを見せましたが、高止まりは続いているようです。
 
その後も第2回、第3回と備蓄米は放出され、さらに今年夏まで毎月、備蓄米は放出されることになっています。備蓄米の流通が増えてくれば店頭価格に反映されていく見込みです。
 

2025年以降の米価見通し

2024年産と2025年産の需給バランスが改善されれば、2025年秋以降には高騰前の価格水準に落ち着く可能性があります。しかし、農家の高齢化など構造的な問題は解決しておらず、また、減反政策も実質的に続いているため、価格はある程度高止まりする可能性が高い状況です。
 
家計への負担を考えると、当面は米の消費量の見直しや代替食品の活用など、家庭での対策も検討する必要があるでしょう。
 

米価高騰の背景と今後の見通しまとめ

米の価格が過去にない水準まで高騰している背景には、減反政策の変化や農家の高齢化、気候変動による収穫量の減少など、複数の要因が絡んでいます。政府は備蓄米の放出などで価格抑制を試みていますが、構造的な課題も多く、5キログラムあたり約2100円に戻る可能性は低いと考えられます。
 
今後も米高騰の影響は続くため、家庭で米の消費量や代替手段などの見直しが必要になるかもしれません。
 

出典

農林水産省 米政策改革の動向
農林水産省 令和6年産水稲の作付面積及び10月25日現在の予想収穫量
農林水産省 食料・農業・農村政策審議会食糧部会 資料(令和6年10月30日開催) 参考資料1米の基本指針の変更(案)のポイント
農林水産省 水稲の作柄に関する委員会 第2回(令和6年3月12日)配布資料1 令和5 (2023)年産水稲の作柄について
総務省 小売物価統計調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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