来月に退職する予定なのですが、引き継ぎが終わらなくて有給休暇を消化しきれません。余った有給休暇は退職日を迎えると無駄になってしまいますか?
配信日: 2025.05.10

本記事では、有給休暇に関する基礎知識のほか、退職時における有給休暇の取り扱いについて解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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有給休暇とは
有給休暇は一般的に有休とも呼ばれますが、正式名称は年次有給休暇です。有給、つまり給与を受け取りながら休暇を取れる制度です。
有給休暇は労働基準法によって規定されています。労働者が会社に入社してから6ヶ月間継続的に勤務していて、全労働日の8割以上出勤している場合には、10日間の有給休暇を与えることが会社に対して義務付けられているのです。なお、有給休暇が付与される対象は、は正社員以外にアルバイト・パートも含まれます。付与条件は正社員と同様です。
なお、有給休暇の付与日数は勤続年数によって異なります。一例として、勤続年数が1年6ヶ月の場合は11日、2年6ヶ月の場合は12日です。
また、有給休暇には時効が存在し、取得から2年が経過すると消滅します。消滅する前に使い切ることが望ましいですが、職場の状況などによっては難しいこともあるでしょう。年に5日以上の有給休暇を取得させることが義務付けられていることに注意が必要です。
退職時における有給休暇の取り扱い
有給休暇は、会社と労働者による雇用関係を前提とした制度です。そのため、退職によって雇用関係が解消された場合、有給休暇は消滅します。本来取得できるはずだった有給休暇を失うため、労働者にとっては損といえるでしょう。基本的に、有給休暇を消化してから退職することが望ましいです。
ただし、今回のケースのように、後任への引き継ぎが完了しないなどの理由により、有給休暇を消化できずに退職するケースも少なくないようです。退職日や最終出勤日を調整して、退職前に有給休暇を消化する方法もありますが、状況次第では難しいこともあるでしょう。
退職時に未消化の有給休暇は買い取りが可能
有給休暇を消化しきれずに退職する場合における会社側の対応として、有給休暇の買い取りがあります。
ただし、有給休暇の買い取りは法的に認められていません。そもそも、有給休暇という制度は労働者に休養を与え、心身の健康を保つことを目的としているため、買い取り行為はその目的に反するからです。
ただし、退職後に消滅する有給休暇の買い取りは禁止されていません。退職時に消化しきれない有給休暇を会社に買い取ってもらうことは可能です。
注意すべきは、退職時に消化しきれなかった有給休暇を会社が買い取ることは可能でも、買い取ることが義務ではない点です。買い取ってもらえるかどうかは、就業規則に記載がない限りは会社の判断次第といえるでしょう。
仮に退職の際に有給休暇を消化しきれない場合は、就業規則を確認したうえで担当者に相談してみるといいでしょう。
なお、有給休暇の買い取りができるのは、退職時に消滅する分だけではありません。法定日数を超えて付与された有給休暇や、2年の時効が成立して消滅したものも買い取りが可能です。ただし、退職時の買い取りと同様に義務ではありません。そのため、就業規則に記載がない場合は買い取りが実現しないこともあるでしょう。
余った有給休暇は退職時に消滅する
有給休暇を残して退職すると、余った分は消滅します。労働者にとっては損といえるため、有給休暇を可能な限り消化してから退職することがおすすめです。ただし、業務の状況などによっては有給休暇の消化が難しいこともあるでしょう。
なお、基本的に有給休暇の買い取りは認められていませんが、退職後に消滅する分は買い取りが可能です。ただし、買い取りが義務化されているわけではありません。就業規則に記載がなければ、実際に買い取りができるかどうかは会社の判断次第です。
仮に全ての有給休暇を退職までに消化することが難しい場合は、買い取りについて会社の担当者に相談してみるといいでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー