「106万円の壁」撤廃が成立! パート主婦は「週19.5時間」働くのがおすすめ? Wワークで勤務時間を“分散”させるべき? 損しないために知っておきたい「新制度」について解説

配信日: 2025.06.23
この記事は約 3 分で読めます。
「106万円の壁」撤廃が成立! パート主婦は「週19.5時間」働くのがおすすめ? Wワークで勤務時間を“分散”させるべき? 損しないために知っておきたい「新制度」について解説
2025年6月13日に年金制度改正法が成立し、2026年10月をめどに、厚生年金の「賃金要件(年収要件)」が撤廃されることが決まり、これまでの「106万円の壁」が撤廃されることになりました。これにより、パート勤務の働き方にも大きな変化が生まれる可能性があります。
 
とはいえ、週20時間以上の勤務で社会保険の対象となる「勤務時間の壁」は引き続き残るため、扶養内で働きたい場合は「週19.5時間」に調整するという方法もあります。さらに、Wワークで勤務時間を分散させるなど、新たな働き方を模索する人も増えていきそうです。
 
本記事では、損をしないために知っておきたい新制度のポイントを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

「106万円の壁」撤廃へ 厚生年金の加入要件はどう変わる?

まずは現状の「106万円の壁」についておさらいしておきましょう。現在の制度では、以下の5つの条件全てを満たすと、社会保険(厚生年金・健康保険)への加入が義務付けられています。

1. 週の所定労働時間が20時間以上
2. 月収8万8000円以上(年収106万円以上)
3. 勤務見込みが2ヶ月を超える
4. 学生でない
5. 従業員51人以上の事業所に勤務していること

このため、「年収106万円を超えると扶養から外れる」といった“壁”が存在してきました。
 
今回「106万円の壁撤廃」といわれているのは、このうち「月収8万8000円以上」という賃金要件が廃止されるというものです。つまり、年収106万円以上となっても、ほかの4条件を全て満たしている場合は、扶養内でいられるケースが生まれます。
 

扶養内で働くなら「週19.5時間」 Wワークは現状OKも今後の改正に注意

「結局、何を意識すれば扶養内で働けるの?」という声も聞かれますが、今後は「週20時間以上勤務」という社会保険への加入条件が大きなポイントになります。
 
新制度では年収要件がなくなるため、厚生年金の加入対象となるかどうかは主に勤務時間によって判断されます。つまり、週の労働時間を20時間未満に抑えれば、社会保険の対象外となり、扶養内で働き続けることが可能です。
 
このような背景から、シフトを調整して勤務時間を週20時間未満にする働き方が注目されています。
 
また、Wワーク(複数の勤務先で働くこと)を活用する動きもありますが、現在はそれぞれの勤務先で個別に判断されるため、単独で条件を満たさなければ社会保険に加入する義務は発生しません。ただし、将来的に勤務先の合算が検討される可能性もあるため、今後の動向には注意が必要です。
 

新制度で損しないためにおさえたいポイント

新制度で損をしないために、注意しておきたいのが「企業規模の要件」も段階的に撤廃されていく点です。
 
現在は、従業員51人以上の事業所に勤務している場合に社会保険への加入が義務付けられていますが、今後はこの条件も見直され、対象が徐々に拡大していきます。2027年10月からは36人以上、2029年10月からは21人以上、2032年10月には11人以上、そして2035年10月には10人以下の事業所まで対象が広がる予定です。
 
つまり、今は対象外でも、数年後には加入義務が生じる可能性があります。「週20時間以上働いているけれど、事業所の規模が小さいから大丈夫」という人も、企業規模の拡大にともなって社会保険に加入することになる可能性があります。
 

まとめ

「週20時間未満の勤務」や「Wワークで勤務時間を分ける」といった工夫をすれば、当面は扶養内で働くことも可能です。あわせて、勤務先の従業員数など企業規模の条件にも注意しておけば、「扶養内で働けるはずだったのに、社会保険に加入することになった……」というような想定外の事態を防ぐことができるでしょう。
 
ただし、国は社会保険の加入対象を広げていく方向で、制度改正の議論を進めています。将来的には「学生以外の働く人ほぼ全て」が対象となる可能性もあり、「年収の壁」や「企業規模の壁」といった区分が意味を持たなくなる時代が近づいているともいえます。
 

出典

首相官邸 いわゆる「年収の壁」対策
厚生労働省 年金制度改正法が成立しました
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問