「5キロ2000円台」の備蓄米の販売が始まりましたが、買えるのは“8月末まで”と聞いて驚き! たった数ヶ月でなくなってしまうの? 理由を解説

配信日: 2025.06.24
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「5キロ2000円台」の備蓄米の販売が始まりましたが、買えるのは“8月末まで”と聞いて驚き! たった数ヶ月でなくなってしまうの? 理由を解説
高騰が続いていた米の価格は、6月2日の週は5キログラムあたり4176円で前週比48円減と3週連続で低下しましたが、それでも1年前に比べて約2倍の金額と高値圏内にあります。主食である米の価格アップは食費への影響も大きく、家計が苦しいと感じている人も多いのではないでしょうか。
 
このような状況を受け、2025年3月から米の価格安定のために備蓄米の放出が始まり、2000円台で購入できるものも販売されています。安い価格で提供される備蓄米ですが、無制限にあるわけではなく、数量に限りがあります。特に2000円台の備蓄米は8月末で在庫がなくなる可能性があります。
 
本記事では、2000円台で販売されている備蓄米が、8月末になくなると考えられる理由について解説します。
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備蓄米制度とは?

備蓄米制度とは、不作などで米の収穫量が減った場合でも、国民が主食である米を安心して食べられるように国が米を備蓄しておくことです。通常想定できるレベルの不作が2年連続した事態にも国産米を切らすことがないように備蓄しています。その量は約100万トン。原則として、毎年取れた米を約21万トンずつ、計5年分を備蓄しています。
 

2000円台で販売される備蓄米はどんな米?

備蓄米を流通させる方法は次の2つがあります。
 

買戻し条件付売渡し

買戻し条件付売渡しとは、米の流通に支障が生じていると判断された場合、在庫がひっ迫している集荷業者や中間流通業者に対して国が入札形式で備蓄米を売り渡し、その後1年以内に同等同量の国産米を業者から買い戻す方法を指します。
 
受渡しの対象となるのは、年間5000トン以上の仕入れ量がある集荷業者などです。集荷業者に米を渡し、卸売業者、小売店へと、通常の米の販売と同じ流通経路を通して流通させます。
 
受渡し価格は、購入を希望する集荷業者による入札で決定し、受渡し後原則1年以内に、国が売り渡した備蓄米と同じ量の米を購入者から買い戻すという制約があることが特徴です。
 
2025年3~4月にかけて実施された備蓄米の放出は、この方法によって行われました。
 
集荷業者に渡された米は、2024年産や2023年産(古米)で、5月11日時点の受渡し量は約21万トンです。しかし、スムーズに小売店などに届けることが難しく、同じく5月11日時点では、約4万トンと受渡し量の約2割しか流通していませんでした。
 

随意契約

随意契約とは、集荷業者および卸売業者を飛ばして、小売業者に直接受渡しする方法で、受渡し後に備蓄米に返納する買い戻しの制約もありません。受け渡し価格は国が決定しており、5キログラムあたり約1万~1万1000円です。この価格に経費や小売業者の利益などが足され、店頭では1キログラムあたり2000円台で販売されています。
 
5月に入り、小泉進次郎農林水産大臣が就任した後に実施された備蓄米の受渡し方法が、この随意契約によるものです。この方法で集荷業者に渡された米は、2022年産(古古米)、2021年産(古古古米)、2020年産(古古古古米)で、早いところでは6月から販売が開始されています。
 

2000円台の備蓄米は8月末で販売できる量しか流通していない

小売業者が随意契約分の購入を申請するとき、自社で「8月末まで」に販売できると見込まれる量の範囲で契約する決まりとなっています。適切に販売を行わず8月末までに販売しきれない場合、売渡申込資格の取消しや国からの指導経過の公表といったペナルティが課せられます。
 
そのため、随意契約に手を挙げた業者は、遅くとも8月末には備蓄米を売り切ろうとします。これが、備蓄米が買えるのは8月末まで、と言われる理由です。
 
ただし、精米能力が需要に追い付かない現状も指摘されており、8月末までの期限の延長を求める声もあり、今後の動向に注目されます。
 
なお、随意契約に手を挙げた企業の一例は次の通りです。

●イオン商品調達株式会社
●株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(ドン・キホーテ運営)
●株式会社イトーヨーカ堂
●株式会社セブンーイレブン・ジャパン
●株式会社ファミリーマート
●株式会社ローソン

特にコンビニ各社は、1キログラムや2キログラムといった比較的少量のサイズで販売して注目を集めています。
 

米の価格に注目して納得のいく米を購入しよう

米の価格高騰を受け、随意契約によって国から小売業者へ直接受け渡される2000円台の備蓄米の販売が始まっています。この2000円台の随意契約分は、小売業者が8月末までに販売できると申告した量に基づいて受け渡されています。
 
計画通りに販売できないと小売業者にペナルティが課せられることから、今後期限が延長されなければ、8月末には売り切れることが予想されます。備蓄米の流通状況や今後の米の需給バランスによって、米の価格は今後も流動的です。最新の情報に注目しながら、納得のいく価格と品質の米を購入しましょう。
 

出典

農林水産省 備蓄米制度(びちくまいせいど)について教えてください。
農林水産省 随意契約による政府備蓄米の売渡しについて
農林水産省 随意契約による政府備蓄米の売渡しに係るQ&A
農林水産省 随意契約による政府備蓄米売渡しについて
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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