「通勤手当が社会保険料に含まれる」と聞いて仰天! 40代・月収34万円で「月3万円」支給の場合“引かれる金額”はどれくらい?「通勤手当と社会保険料」の関係を解説
この記事では、通勤手当がなぜ社会保険料に含まれるのかの仕組みと、月3万円の通勤手当を受け取っている40代・月収34万円のケースをもとに、実際にどれくらい引かれるのかをシミュレーションしていきます。
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目次
通勤手当は非課税なのに社会保険料には含まれる? 混乱しやすいポイントを整理
通勤手当は、所得税の計算上「一定額まで非課税」とされているため、社会保険料にも含まれないと誤解されがちです。
しかし実際には、社会保険料の計算では、通勤手当も「報酬の一部」として給料に加算される仕組みになっています。社会保険における「報酬」とは、労働の対価として支払われる給与や各種手当を指し、通勤のための手当もこれに含まれます。通勤手当があってこそ働きに行ける、つまり生活に必要な支出と見なされるためです。
このため、給与と同じように保険料の計算に組み込まれることになります。
40代会社員・月収34万円・通勤手当3万円でどれくらい引かれる?
40代会社員のケースで、社会保険料がどの程度引かれるのかを試算してみます。前提条件は以下のとおりです。
●年齢:40代(介護保険料の対象)
●勤務地:東京都(協会けんぽ)
●支給額:月収34万円+通勤手当3万円=37万円
●扶養:なし
この場合の社会保険料(本人負担分)は次のとおりです。
●標準報酬月額:38万円に該当
●健康保険料:38万円×9.91%÷2=1万8829円
●介護保険料:38万円×1.59%÷2=3021円
●厚生年金保険料:38万円×18.3%÷2=3万4770円
●社会保険料合計:5万6620円
手取り=37万円-5万6620円=31万3380円
同ケースで通勤手当なしの場合(40代会社員・月収34万円)
●標準報酬月額:34万円に該当
●健康保険料:34万円×9.91%÷2=1万6847円
●介護保険料:34万円×1.59%÷2=2703円
●厚生年金保険料:34万円×18.3%÷2=3万1110円
●社会保険料合計:5万660円
手取り=34万円-5万660円=28万9340円
通勤手当なしだと社会保険料は月5960円減りますが、通勤手当ありの場合は手取りが2万4040円増える形になります。
通勤手当から社会保険料を引かれることに、なぜ違和感が生まれるのか?
今回の試算では通勤手当がある場合、月の手取りが約2万4000円多くなりました。しかし、この増えた分は定期代やガソリン代など、通勤に必要な「実質的な経費」で消えてしまうお金です。自由に使えるわけではないため、「手取りが増えた」と言われても実感がわかず、その一部が社会保険料として引かれることに違和感を覚える人も少なくありません。
今ではほとんどの企業が通勤手当を支給していますが、本来は企業の任意であり、支給していない企業も存在します。もし通勤手当を社会保険料の対象外とした場合、支給の有無によって保険料に差が出てしまい、不公平が生じる可能性があります。こうした公平性の観点からも、通勤手当は「報酬」として一律に扱われているのです。
こうした背景を知ったうえで、「通勤手当=報酬の一部」という考え方を持つと、手取りが増えているように見えても、その実感とのギャップに対する違和感が少し和らぐかもしれません。
出典
国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げについて
厚生労働省 雇用保険料の対象となる賃金
全国健康保険協会 令和7年度保険料額表(令和7年3月分から)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
