毎月“5万円”の貯金を切り崩している60代の両親。「蓄えはある」と言うのですが、使いすぎではないでしょうか?
定年をむかえて収入が年金のみになった場合などに、貯金を切り崩して生活費に充てることもあるかもしれません。
本記事では、60代を例に挙げて、預貯金の切り崩し額や貯金額の平均をご紹介するとともに、老後資金の上手な切り崩し方についてもまとめています。
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預貯金の切り崩し平均額はどのくらい?
内閣府が発表した「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、60歳代での預貯金の切り崩しについて、「よくある」または「時々ある」と答えた人が2~3割以上を占めています。
1年間に切り崩した金額の平均は60~64歳が7万9000円、65~69歳が8万5000円です。金額ごとの割合として最も多いのは「2~5万円未満」で3割以上います。「5~10万円未満」「10万円以上」と答えた人もそれぞれ2割以上はいるということです。
今回の事例では「両親が毎月貯金を5万円切り崩している」ということなので、年間にすると60万円切り崩していることになります。平均額を相当上回っているため、注意が必要な場合もあるかもしれません。
また、シニア世代のほかの年齢層の切り崩し平均額も表1にまとめたので参考にするとよいでしょう。
表1
| 年間切り崩し平均額 | |
|---|---|
| 70~74歳 | 5万3000円 |
| 75~79歳 | 5万9000円 |
| 80~84歳 | 7万円 |
| 85歳以上 | 5万3000円 |
※内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」を基に筆者作成
70代や80代に比べると、60代の貯金の切り崩し平均額が高めであることが分かります。
「月5万円」の貯金を切り崩すにはいくらあれば足りる?
今回の事例では年間60万円の貯金を切り崩していることになるため、例えば20年間にわたって貯金を切り崩した場合、1200万円になります。あくまで単純計算上ですが、貯蓄が1200万円以上あれば、月5万円ずつ切り崩しても生活できる可能性はあります。
ただし、高齢になると医療費や介護費などがかかるようになることも考えられるため、できるだけ貯金を残しておいた方が安心でしょう。
貯金の上手な切り崩し方
老後のための貯金を切り崩して生活費に充てる場合、いずれ貯金が底をついて生活が苦しくなってしまうケースも考えられます。
そのため、貯金を切り崩す前に今後のライフプラン表を作成してみるとよいでしょう。例えば「車を買い替える」「自宅をリフォームする」など、大きなお金がかかりそうな出来事を書き出し、どのくらいお金がかかるのか考えてみてください。
また、毎月の収支の流れも明確にすることで、何年後にいくら貯金できる可能性があるか確認しましょう。そのうえで、ライフプラン表に書き出した出来事を実現できるだけの資金を用意できるか把握することが大切です。
そのうえで、月々いくらずつ貯金を切り崩せば十分な貯金額を確保しておけるのか考えてみましょう。
60代の貯金切り崩し平均額は年間7万9000円~8万5000円
貯金の切り崩し平均額は、60~64歳が年間7万9000円、65~69歳が年間8万5000円です。今回の事例では「60代の両親が毎月5万円の貯金を切り崩している」ということなので、年間にすると60万円となり、平均よりかなり多いことが分かります。
1年で60万円ということは、20年間同じ金額の貯金を切り崩した場合、1200万円以上なければ途中で貯金が0になってしまう可能性があります。
今後のライフプランや毎月の収支の流れを把握し、十分な貯金額を確保できるようにしましょう。
出典
内閣府 令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
