「手取り19万円」の会社に就職。家賃8万円なので「11万円も好きに使える」と思ったら、生活が苦しくてビックリ! 1人暮らしってこんなにお金が飛んでいくの? 手取りに対して“家賃”が高すぎるでしょうか?
ところが、いざ生活が始まってみるとお金が残らず、給料日前には毎月ぎりぎりという人も少なくないのではないでしょうか。思っていた以上に出費がかさんでいる理由は、どこにあるのでしょうか。総務省の統計を参考に見ていきます。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
残り11万円で本当に暮らせる? 家計調査を参考に考察
総務省「家計調査」によると、2024年の単身世帯の1ヶ月あたりの平均消費支出は16万9547円です。このうち住居費は2万3373円となっており、住居費を除いた支出は14万6174円にのぼります。
これに対して、今回のケースでは手取り19万円、家賃8万円という前提です。手元に残る11万円で生活費をまかなおうとすると、毎月3万6174円の赤字となってしまいます。
上記の消費支出の内訳を見ると、食費が4万8204円、水道・光熱費が1万2817円、衣服および履物が5175円、交通・通信費が2万564円といった具合です。日常生活に欠かせない項目の支出だけでも、大きな支出になっていることが分かります。
また、食費や娯楽費は、「意識しなければ増えやすい支出」の代表格です。さらに、スマホ代やサブスク、コンビニの利用など、小さな支出が積み重なれば、家計をじわじわと圧迫していきます。
「11万円も残るから大丈夫」ではなく、「実際は11万円しかなくて苦しい」という現実が、統計からも見えてくるのです。
家賃8万円は妥当? 不足を埋めるカギは固定費
結論から言ってしまうと、手取り19万円で8万円の家賃は高すぎるかもしれません。「家賃は手取りの30%以内にするべき」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
この数字は、あくまでも目安であると考える人も多く、厳密に守る必要はありません。しかし、手取り19万円で8万円は手取りの42%に相当し、家計を大きく圧迫する水準となっていることは間違いないでしょう。
ある不動産情報サイトによると、東京23区のワンルーム賃貸相場(2025年6月時点)は、新宿区や品川区で約8万円、渋谷区や千代田区などはさらに高く10万円近くとなっています。住む場所によっては、家賃8万円は決して高すぎるわけではなく、仕方ない側面があるかもしれません。
しかし、葛飾区や江戸川区、足立区などワンルームの家賃相場が5万~6万円台の地域もあるため、23区内に住むにしてももう少し家賃を下げる工夫はしたいところです。
ただし、家賃の引き下げは効果が大きい一方で、引っ越しには敷金・礼金・仲介手数料など初期費用がかかります。すでに家賃8万円の物件に入居しているのであれば、通信費・光熱費・食費などの見直しを検討するのが現実的です。
注目したいのは固定費で、その中でも一度変えれば節約効果が長く続くものを中心に見直しましょう。例えば、通信費では格安SIMに変えるだけで数千円の節約ができ、その効果は毎月継続します。そのほか、無駄なサブスクの解約や電気・ガス会社の見直しで、同様に毎月継続した節約が可能です。
その上で、自炊によって毎月の食費を減らす、衣服や趣味に使うお金を意識的に減らすなど日々の節約も取り入れていきましょう。
これらの対策を組み合わせれば、家賃を据え置いたままでも、赤字の大半を埋められる可能性があります。それでも不足が続く場合には、家賃交渉や住み替えも視野に入れていく必要があるでしょう。
「11万円も残る」は幻想。収支のバランスを見直そう
手取り19万円に対して家賃8万円を支払うと、「11万円も使える」と思いがちです。しかし、統計を見てみると家賃以外にも平均で月14万6000円以上の支出があります。
収支のバランスを保つには、家賃を手取りの3割以内に抑えるか、通信費・光熱費・食費といった生活費の削減が必要です。それでも難しい場合は、家賃が安い物件への引っ越しが必要となります。支出の現実を正しく把握し、生活設計を立て直すことが黒字化への第一歩となるでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2024年(令和6年) 平均結果の概要
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
