30代の平均貯蓄額は「677万円」なのに、中央値は「180万円」!? 30~40代の“お金のリアル”と、見えにくい貯蓄格差とは? 世論調査をもとに解説

配信日: 2025.06.29
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30代の平均貯蓄額は「677万円」なのに、中央値は「180万円」!? 30~40代の“お金のリアル”と、見えにくい貯蓄格差とは? 世論調査をもとに解説
金融経済教育推進機構の調査によると、30代の2人以上世帯における平均貯蓄額(金融資産)は677万円ですが、実際の中央値は180万円です。つまり、30代の半数以上が180万円以下の貯蓄しかないのが現実です。本記事では、2人以上世帯における30~40代のリアルなお金事情と、なぜこんなに差が生まれているのかを分かりやすく解説します。
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30代の貯蓄額の真実! 平均677万円vs中央値180万円

30代(2人以上世帯)の貯蓄額は、平均677万円に対して中央値180万円です。平均値と中央値の約3.7倍もの差は、日本の貯蓄格差の深刻さを物語っています。
 
中央値とは、全員を貯蓄額順に並べたときの真ん中の人の数字です。平均値は一部の富裕層が数字を押し上げてしまいますが、中央値は「普通の人」の実態により近い数字といえます。つまり、30代の半数以上が180万円以下の貯蓄しかないことになります。
 
さらに驚くべきは、30代の24.5%、4人に1人近くが「貯蓄ゼロ」という現実です。
 

なぜ「平均」にだまされてはいけないのか

メディアでよく見る「30代の平均貯蓄額」は、参考にするのが難しいかもしれません。統計の特性上、少数の高額貯蓄者が平均値を大幅に押し上げてしまうからです。
 
例えば、10人のうち9人が50万円の貯蓄で、1人だけが4500万円を持っていた場合、平均は約500万円になりますが、9割の人は50万円しか持っていません。
 
だからこそ、自分の貯蓄額を他人と比較するときは、平均値ではなく中央値を参考にすると現実的です。「平均より少ないから焦る」のではなく、「中央値と比べてどうか」を考えましょう。
 

40代になるとさらに格差が拡大する理由

同じく金融経済教育推進機構の調査によると、40代の2人以上世帯における平均貯蓄額は944万円、中央値は250万円です。30代と比較して平均貯蓄額は267万円も上がりますが、中央値は70万円の上昇にとどまります。
 
国税庁の調査によると、給与所得者の年収は30代と比べて40代では平均約63万円(約14%)上がる傾向にあります。一方、貯蓄ゼロの割合は25.7%で、30代の24.5%よりも上がっています。一見矛盾しているように思えますが、実は40代特有の事情が関係しています。
 
40代は人生で支出が多い時期です。多くの家庭では、住宅ローンの返済と子どもの教育費が重なり、場合によっては親の介護費用など出費が増えます。特に子どもが中学・高校生になると、課外活動費や交通費など予想以上にお金がかかります。
 
貯蓄格差は、年齢だけでなく、住んでいる地域や働き方によっても大きく変わります。2024年の家計調査によると、東京都区部の1世帯あたり平均貯蓄額は3019万円で、全国平均の1984万円を大幅に上回る一方、地方では約800万円のところもあり、約3.7倍の格差があります。
 
雇用形態による差も深刻です。令和6年賃金構造基本統計調査によると、正規雇用と非正規雇用では30~40代の平均年収で約270万円もの開きがあり、これが貯蓄能力に直結しています。大手企業の正社員と中小企業の契約社員では、同じ努力をしていても貯蓄額に大きな差が生まれる傾向があります。
 

今から間に合う資産形成のコツ

絶望的に思える状況でも、諦める必要はありません。まずは「緊急資金」として生活費の3~6ヶ月分を目標に貯蓄を始めましょう。2人以上の世帯なら85~170万円が目安です。
 
次に、収入の10~15%を貯蓄に回すことを目標にしてください。月収30万円なら3万~4万5000円です。無理な場合は1万円からでも構いません。
 
2024年から始まった新NISAも活用しましょう。少額から長期投資を始めることで、インフレに負けない資産形成が可能です。NISA口座数は2024年3月から2025年3月までの1年間で327万口座も増加しており、多くの人が資産形成に取り組み始めています。
 

数字に惑わされず、現実的な目標設定を

30代の平均貯蓄額677万円と中央値180万円の大きな差は、現代日本の貯蓄格差の深刻さを表しています。40代になるとこの格差はさらに拡大し、平均944万円に対して中央値250万円の状況です。
 
重要なのは、平均値に惑わされることなく、自分の現状を正しく把握することです。貯蓄ゼロの人が30代で24.5%、40代で25.7%もいる中で、まずは少額から貯蓄を始めることが資産形成の第一歩です。
 
早めに計画的な資産形成を始めることで、将来への不安を少しずつ解消できるでしょう。「平均」の数字に焦らず、自分のペースで着実に貯蓄・投資を進めていきましょう。
 

出典

金融経済教育推進機構 家計の金融行動に関する世論調査 2024年
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-
総務省統計局 家計調査/貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表 2024年
厚生労働省令和6年賃金構造基本統計調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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