4~6月に働きすぎて残業代が普段の「2倍」出そう!このままだと「手取り」はかなり減ってしまう…?
実は、社会保険料の仕組みが影響し、保険料が変動する可能性があります。この時期の給与額が、1年間の社会保険料に関係するため、残業が多いと標準報酬月額が上がり、9月以降の手取りが減ってしまうケースもあるようです。
本記事では、社会保険料の仕組みや、手取りが減っても必ずしも「損」とは言い切れない理由について、分かりやすく解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
4〜6月の残業で手取りが減るって本当?
会社員が給与から天引きされている、毎月の社会保険料には以下のようなものが含まれます。
●健康保険料
●厚生年金保険料
●介護保険料(40歳以上の被保険者の場合)
これらの保険料は「標準報酬月額」という基準によって決まります。
標準報酬月額は原則として、毎年4~6月に支払われた給与の平均額を基に決定されます。この手続きは「定時決定」と呼ばれ、9月から1年間、この金額を基に保険料が計算される仕組みです。
そのため、もし4~6月に残業や各種手当によって一時的に給与が増えてしまうと、その分平均額が引き上げられ、標準報酬月額の等級も高くなります。その結果、9月以降の保険料が上がってしまい、手取りの減少につながる可能性があるのです。
翌月払いの会社は「3~5月の働き方」にも要注意
多くの企業では「当月締め・翌月払い」の給与体系を導入しています。この場合、4月の給与には3月に働いた分の実績が、5月には4月の、6月には5月の働きがそれぞれ反映されます。
つまり、給与の支払いが翌月の企業に勤めている場合、保険料の基となる4~6月の給与額は、実質的には3~5月の労働によって決まることになります。そのため「4月から残業を控えれば大丈夫」と思っていても、3月に多く残業していた場合は、すでにその時点で影響が出ている可能性が考えられるのです。
このように、給与の締め日と支給日の関係によって、社会保険料に影響する時期がずれるケースもあるため、自分の会社の支給ルールを確認しておくことが重要です。
手取りが減ってもメリットはある
社会保険料が上がることで手取りが減ると、損をしたように感じてしまいますが、保険料の増加は必ずしも損になるとは限りません。実は、標準報酬月額が上がることで、受けられる給付が増えるケースもあるのです。
傷病手当金が増える
病気やけがで会社を休む場合、一定の条件を満たすと傷病手当金を受け取ることができます。支給される金額は標準報酬月額に基づくため、額が高くなると、受け取れる傷病手当金も増加する可能性があるのです。
出産手当金が増える
出産により産前産後休業を取得する際に支給される出産手当金も、標準報酬月額に基づいて計算されます。そのため、給与水準が高かった時期に産休に入ると、より高い給付が受けられる場合があります。
厚生年金が増える
将来の老後資金として受け取る厚生年金も、現役時代の標準報酬月額と加入期間に応じて決まります。短期間でも報酬が高い期間があることで、最終的な年金額にプラスの影響を与える可能性があるのです。
手取りは減るが、それは損とは限らない
4~6月に残業などで収入が増えた場合、標準報酬月額等級が上がるため、9月以降の社会保険料が高くなることが考えられます。結果として手取りは少なくなりますが、これは必ずしも損とは言い切れません。保険にかかる負担額は将来的な年金や医療・介護といった保障につながるもので、支払額に応じて受けられる給付の内容も充実する可能性があります。
つまり、短期的な手取りの減少だけを見て悲観するのではなく、長期的な視点で制度を理解することが大切です。このように、制度の仕組みを知っておけば「思ったより手取りが少ない」といった不安や誤解を防ぐことができるでしょう。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
