友人のバイト先は「給与手渡し・明細書なし」だそうです。「頼めば明細は見せてもらえる」とのことですが、問題にならないのでしょうか? リスクや対処法も解説
本記事では、給与の手渡しや明細書の発行がない場合の問題点やリスク、また対処法や注意点などを解説します。
FP2級
「給与手渡し」「明細なし」は問題ない?
給与の手渡しは法的に問題ありませんが、明細書の発行がないのは違法です。
労働基準法第24条において、賃金は「通貨で、直接労働者に、全額を」「毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」とされており、法的にはむしろ直接支払うことが原則とされています。
給与の全額が期日通りに本人に対して支払われていれば、給与を手渡しで支払っても法的に問題はありません。
ただ、給与明細書の発行に関しては、労働基準法では明記されていませんが、所得税法第231条において「給与を支払う者は、給与の支払を受ける者に支払明細書を交付しなくてはならない」と定められています。
給与明細書に記載しなければならない項目は次の通りです。
・給与等の金額
・徴収された所得税の額
・還付した金額
・給与特別控除額により控除した金額
給与の支払いを受ける者の承諾があれば、PDFなど電磁的方法による明細書の交付も選択できます。
給与明細は、勤怠や給与支払いに関する重要な証拠となるため、給与支払いの際にきちんと交付してもらい、確認および保管をしておくことが大切です。
なお、受け取り方に関係なく税金の支払いは必要なため、給与を手渡しで受け取って源泉徴収がされていない場合は、確定申告を忘れずに行いましょう。
明細書が発行されない場合の対処法
給与明細書は法律で発行が義務付けられているため、発行されていない場合は対策を講じる必要があります。
給与の支払日に明細書が発行されない場合、まずは職場に明細書の発行を請求してください。
職場に請求しても発行がされない場合は、労働基準監督署に相談して何らかの対応を求めるのが良いでしょう。
労働基準監督署で対処できない場合は、弁護士に相談することでより具体的な対処法を教えてもらえることがあります。
給与明細書の発行がないのは違法であるため、職場に掛け合っても解決しない場合は、専門機関などの力も借りて早急に対処することが大切です。
まとめ
給与の手渡しは法的に問題ありませんが、明細書の発行は所得税法において義務化されているため、明細書の発行がない場合は違法となります。
給与の支払日に明細書が発行されない場合、まずは職場に明細書の発行を請求しましょう。請求に応じてもらえない場合は職場に問題があるため、労働基準監督署へ相談してください。
給与明細は、勤怠や給与支払いに関する重要な証拠となるため、給与支払いの際に紙または電磁的方法で交付してもらい、きちんと確認および保管をしておきましょう。
出典
e-Gov法令検索 労働基準法
e-Gov法令検索 所得税法
e-Gov法令検索 所得税法施行規則
厚生労働省 働くときのルール
執筆者 : 梅井沙也香
FP2級
