子育てもひと段落し、妻も働くことに。「年収の壁」が引き上げになった現在、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」はどのように意識すべきですか?

配信日: 2025.07.03 更新日: 2025.07.04
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子育てもひと段落し、妻も働くことに。「年収の壁」が引き上げになった現在、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」はどのように意識すべきですか?
子育てがひと段落した家庭だと、今まで育児に専念していた配偶者が働きに出ることもあるかもしれません。「年収の壁」の引き上げに伴い、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」はどう変わったのでしょうか。
 
本記事では、見直しとなった年収の壁と配偶者控除・配偶者特別控除について解説します。
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令和7年度税制改正により、いわゆる「103万円の壁」が見直しに

令和7年12月1日に施行される令和7年度税制改正によって、所得税の「基礎控除」や「給与所得控除」が見直されます。
 
国税庁によれば、改正前の基礎控除では、最大48万円の控除を受けられました。改正後は、合計所得金額が132万円以下の場合「95万円」、132万円超2350万円以下の場合「58万円」へと引き上げられるようです。
 
また、令和7年・8年分に関しては、132万円超655万円以下の場合、改正後の「租税特別措置法第41条の16の2」の規定による加算額が加算されます。これによって、令和7年・8年分においては、132万円超336万円以下では88万円、336万円超489万円以下では68万円、489万円超655万円以下では63万円の基礎控除が適用されます。
 
一方、改正前の給与所得控除は、給与の収入金額が162万5000円以下であれば「55万円」の控除が受けられる仕組みでした。改正後は給与の収入金額が190万円以下であれば「65万円」の控除が受けられるようになり、最低保障額が引き上げになります。
 
「103万円の壁」は元々、基礎控除48万円と給与所得控除55万円を合算した値で、所得税の支払いが発生するラインです。今回の税制改正により、基礎控除と給与所得控除がそれぞれ引き上げられるため、「103万円の壁」も「160万円の壁」へ引き上げられます。
 

令和7年度税制改正に伴い「配偶者控除」はどう変わる?

配偶者控除とは、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に受けられる所得控除です。また、配偶者控除を受けられるラインをオーバーした際に、配偶者の合計所得金額に応じて一定金額の所得控除を受けられる制度が、配偶者特別控除です。令和7年度税制改正によって、配偶者控除や配偶者特別控除を受ける要件は変わったのでしょうか。
 
表1

 

扶養親族等の区分 所得要件(収入が給与だけの場合の収入金額)
改正前 改正後
扶養親族・同一生計配偶者・ひとり親の生計を一にする子 48万円以下(103万円以下) 58万円以下(123万円以下)
配偶者特別控除の対象となる配偶者 48万円超133万円以下
(103万円超201万5999円以下)
58万円超133万円以下
(123万円超201万5999円以下)

出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」を基に筆者作成
 
表1によると、配偶者が給与収入だけの場合、配偶者控除や配偶者特別控除を受けられる基準値は20万円引き上げられています。一方、配偶者特別控除の上限額は変化しないようです。
 

まとめ

令和7年度税制改正によって、年収の壁は「103万円の壁」から「160万円の壁」に引き上げられます。それに伴って、配偶者控除や配偶者特別控除を受けられるボーダーラインも、給与収入のみであれば「123万円」に引き上げられるため、今回の事例のように、配偶者が働きに出る場合はこれらの基準額を意識するとよいかもしれません。
 

出典

国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)(2ページ、4ページ)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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