主人の扶養から外れて働き始めました。扶養を外れて「得」になる年収はいくらですか?
配信日: 2025.07.05

この記事では、扶養の基礎知識から、「得」になる年収のラインまで、分かりやすく解説します。

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扶養から外れると何が変わる?
配偶者の扶養に入っていることで、配偶者の税負担が軽減されるほか、原則、年収が130万円未満であれば、健康保険や年金の保険料を自分で払う必要がなく、「第3号被保険者」として配偶者の社会保険に加入できます。
しかし、扶養から外れるとこれらの恩恵はなくなり、自分で健康保険と年金(厚生年金もしくは国民年金)の保険料を支払う必要がある点に注意してください。例えば、月に約3万円(年間約36万円)の負担増となれば、それ以上に働いて収入を増やさない限り、手取り収入はかえって少なくなってしまいます。
年収の壁とは?
扶養をめぐる判断において、年収の壁が一つの判断基準となります。その中でも特に影響が大きい、4つの壁について見ていきましょう。
106万円の壁
以下の条件を満たす人は、106万円の壁に注意が必要です。
・週の所定労働時間が20時間以上
・勤務期間が2ヶ月を超える予定がある
・月収が8万8000円以上(年収換算で106万円以上)
・学生ではない
・事業所の従業員数が51人以上
上記の条件を全て満たすと、健康保険と厚生年金の加入が義務化され、保険料の自己負担が発生します。月収に応じて健康保険料は約4360円以上、厚生年金保険料は約8052円以上を納めなければなりません。ただし、将来的な年金受給額が増えることや、医療保障の充実といったメリットもあります。
130万円の壁
106万円の壁には該当しない人も、130万円を超えると、国民健康保険と国民年金への加入もしくは勤務先の社会保険への加入が求められます。そのため、全ての人にとって年収130万円は、社会保険料の自己負担が発生する分岐点ともいえるでしょう。
150万円の壁
150万円の壁では、配偶者特別控除による控除額に影響が生じます。
配偶者(配偶者特別控除を受ける側)の合計所得金額に応じて、最大で38万円の満額が控除されますが、年収150万円~201万円の間では、控除額は段階的に減っていくため注意が必要です。
201万円の壁
年収201万円は、配偶者特別控除の対象外となるラインです。配偶者の手取りに直接影響はありませんが、世帯全体の課税所得が増えるため、結果として家計の税負担は増加します。
扶養を外れて「得」になる年収は?
これらの壁は、一見すると「損をするライン」とも見えますが、あくまで社会保険料や税金の支払いが増えるタイミングです。収入が増えればそれに応じて手取りも増えていくのが普通であるため、「壁を越える=損する」とは言い切れません。
年収180万円以上が目安
年収130万円で扶養に入り続けた場合の手取りは約125万円にとどまります。
一方、年収200万円の手取りは約160万円前後になり、ひと月あたり3万円近くの手取り増となる計算です。また、年収180万円の手取りは約147万円前後で、ひと月あたり約1万8000円の手取り増となります。
つまり、社会保険料が発生したり、配偶者特別控除が減額されたりしても、年収180万円を超えれば、月々の手取りは1万8000円以上のプラスとなり、収入増を実感しやすいでしょう。
もちろん、居住地や勤務形態などによっても違いはありますが、「年間36万円以上の社会保険料を支払ってもなお得になるライン」を目指すなら、年収180万以上(月収15万円以上)を目安にするのがおすすめです。
ライフスタイルに合わせた選択が重要
扶養から外れて収入を増やすかどうかは、「どれくらい働くか」によって損得が大きく分かれます。一般的に、年収180万円以上あれば、扶養から外れても手取り増加を実感できる可能性が高いです。
ただし、ライフスタイルや家計状況によっては扶養内で働き続けるほうがいい場合も考えられます。目先の収入だけでなく、将来受け取れる年金や家計全体のバランスを考えた働き方を選びましょう。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー