もし「扶養の壁」を100円超えると、負担はいくら増えますか?「税金対策」をして回避する方法はあるのでしょうか?
本記事では、扶養の壁を100円超えた場合の負担額について解説するほか、税金対策についても触れています。
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扶養の壁とは
扶養の壁とは、税金および社会保険料の負担が増える年収です。それぞれに設定された年収額を超えてしまうと、税金や社会保険などを負担する必要が出てきます。負担を増やしたくないために、働く時間を控えるなどの策をとっている人もいます。
本章では、扶養の壁となる6つの年収額について解説します。それぞれ負担する内容が違うため、知っておきましょう。
税金に影響が出る壁
税金の支払いに関連する年収額は、以下のとおりです。
●100万円超……住民税
●103万円超……住民税と所得税
●150万円超……住民税と所得税、配偶者特別控除の減額
●201万円超……住民税と所得税、配偶者特別控除がなくなる
パート・アルバイトで働いている本人には、住民税や所得税がかかります。それだけでなく、配偶者が受けられていた配偶者特別控除額も次第に減額され、201万円を超えると0円となります。
社会保険に影響が出る壁
社会保険にかかわる年収額は、以下のとおりです。
●106万円超……条件付きで社会保険へ加入
●130万円超……国民健康保険および国民年金へ加入
106万円を超えると、条件によって厚生年金と健康保険へ加入します。条件は以下のとおりです。
●従業員51人以上の会社に勤めている
●週の勤務が20時間以上
●給与が月額8万8000円以上
●2ヶ月を超えて働く予定がある
●学生ではない
なお、106万円超の場合、残業代や賞与等は除きます。基本給および諸手当のみで算出しましょう。
上記の条件に当てはまらなくても、年収額が130万円を超えた場合は国民健康保険と国民年金へ加入します。130万円の場合、基本給および諸手当のほか通勤手当・残業代・賞与・不動産、事業、配当といった収入も含まれます。
扶養の壁を100円超えると負担はいくら増えるのか
ここでは、年収額が106万100円と100円超えてしまい、なおかつ社会保険加入義務の条件を満たしている人の社会保険料についてシミュレーションします。
【例:年収106万100円、東京都在住、30代】
全国健康保険協会(協会けんぽ)によると、年収が106万100円(標準報酬月額8万8000円)の場合、令和7年3月分からの健康保険・厚生年金保険の保険料額は、健康保険料が年額5万2320円、厚生年金保険料は年額9万6624円です。あわせると、年額14万8944円の負担が増します。
年収106万円を100円でも超えてしまうと、年間15万円ほど負担が増えてしまうでしょう。
税金対策をして負担を回避する方法
扶養の壁を意識していても、会社の都合などで働き控えができなかったり計算を間違っていたりして、超えてしまいそうな時もあるでしょう。対策すれば、税金の負担をおさえられるかもしれません。
そこで本章では、政府がスタートした制度や、控除によって課税所得金額を減らす方法について解説します。
条件を満たしていないか確認する
106万の壁を超えそうでも、条件を満たしていない場合は社会保険への加入義務はありません。130万円を超えた場合は被扶養者資格を失い、自分で国民年金・国民健康保険への保険料支払いが発生します。130万円の判定には、賞与や残業代なども含まれるので注意しましょう。
年収の壁・支援強化パッケージを活用する
政府は令和5年10月から「年収の壁・支援強化パッケージ」をスタートしました。これまでの手取りと変わらない収入が得られる助成金が支給されたり、事業者から「一時的に収入が増えた」と証明してもらうことにより扶養内で働き続けたりすることも可能になる制度です。
控除を活用する
生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済掛金を支払っている場合は、控除を申告すれば課税所得金額を減らせ、扶養の壁を超えずに済むでしょう。しかし、控除のために保険料を多く払ってしまうと手取りが減ってしまうため、注意が必要です。
扶養からはずれる条件を確認しておこう
扶養の壁によって、税金の負担や社会保険料の支払いが負担になるでしょう。また、配偶者特別控除額が減ってしまい、世帯収入にかかわるおそれもあります。そこで、条件を知って対策をすれば、負担を増やさないようにすることができます。せっかく働いても損をしないように、あらかじめ条件を確認しておきましょう。
出典
内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 「年収の壁」対策がスタート! パートやアルバイトはどうなる?
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト パート・アルバイトのみなさま
全国健康保険協会(協会けんぽ) 令和7年度保険料額表(令和7年3月分から)
厚生労働省 「年収の壁」への対応
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
