4月~6月に「残業」しすぎると「社会保険料」が上がって手取り額が減るって本当…?残業代以外にも気を付けるべきポイントは?

配信日: 2025.07.08
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4月~6月に「残業」しすぎると「社会保険料」が上がって手取り額が減るって本当…?残業代以外にも気を付けるべきポイントは?
4月から6月の残業は社会保険料が高くなって手取りが減るから控えた方がいい、そう聞いたことはありませんか?
 
本記事ではなぜそのようなことが言われるか、その理由について解説していきます。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

厚生年金保険と健康保険の保険料は4月から6月に支払われる給与で決まる

会社員が支払う社会保険料のうち、厚生年金保険と健康保険の保険料は4月から6月の3ヶ月間に支払われる給与によって決まります。具体的には、この給与を基に決定される標準報酬月額を保険料の計算に用います。標準報酬月額の等級が高ければ高いほど支払う保険料も高くなるという具合です。
 
一度決まった等級は原則として9月から翌年8月まで使用されます。そのため、4月から6月に残業をしすぎると社会保険料が上がって手取りが減るといわれることがあるのです。
 
例えば、全国健康保険協会に加入している東京都在住40代の方で、標準報酬月額が16万円なら、「令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」より、毎月の厚生年金保険料は1万4640円、健康保険料は介護保険料込みで9200円になります。
 
その方が残業を頑張り、4月から6月の3ヶ月間の給与が上がって、標準報酬月額が18万円になってしまった場合で考えてみましょう。
 
すると、その後9月から翌年8月までの1年間、毎月の厚生年金保険の保険料は1万6470円、健康保険料(介護保険料込み)は1万350円になってしまい、合計で月額2980円、保険料が増加することになります。年換算で実に3万5760円も多く保険料を支払うことになります。
 
このように、4月から6月に残業を多くすると給与が上がり、それを基準とした厚生年金保険料と健康保険料を支払うことになるのです。
 

給与計算の締め日と支払日によっては4月から6月の残業で決まるとは限らない

ここで注意しなければならないことが1点あります。それは、厚生年金保険料や健康保険料が「4月から6月に受け取る給与」で決まるという点です。4月から6月に働いたことによって決まるのではなく、4月から6月に受け取った給与で決まるのです。
 
例えば、月末締めの翌月払いとなっているケースでは、3月から5月に働いた分が4月から6月に受け取る給与になります。
 
そのため、当月払いの会社でない限り、必ずしも4月から6月の残業によって社会保険料が上がるとは限りません。正確には、「4月から6月に支払われる給与」が高くなると厚生年金保険料と健康保険料が上がる可能性があると知っておいてください。
 
なお、もうひとつ給与に連動する社会保険料として雇用保険料があります。こちらについては毎月の給与によって変動します。そのため、4月から6月の残業に限らず残業の多い月は高くなります。
 

残業代以外に通勤手当にも要注意

通勤のために支給される通勤手当は、原則として一定額まで所得税や住民税が非課税です。しかし、社会保険料を算出する際の給与には含まれます。遠方から通勤していて、通勤手当が高額である場合、それによって等級が上がり、連動して厚生年金保険料や健康保険料が高くなってしまうこともあります。
 
地域など諸条件によっても異なりますが、家賃を安くするために少し遠めの場所から通勤しようと引っ越しを考えている方は、社会保険料の観点からも住む場所を考えてみるとよいかもしれません。
 

残業の時期によって社会保険料が変動する可能性がある

社会保険料のうち厚生年金保険料と健康保険料は4月から6月に受け取る給与によって、その後9月からの1年間の保険料が決定されます。
 
難しいことかもしれませんが、可能であれば4月から6月に支払われる給与は残業代があまり含まれないように調整して働くことができれば、社会保険料を削減できる可能性があります。
 
毎月の給与から引かれる社会保険料の額は決して小さくありません。これを機に一度社会保険料の決まり方について確認してみてはいかがでしょうか。
 

出典

全国健康保険協会
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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